初めての定期テスト。思っていた点数に届かないと、「自分は勉強が苦手なのかもしれない」と心が小さくなります。頑張った人ほど、答案を見るのがつらいこともあるでしょう。
けれど、今回の点数だけで、自分の力を決める必要はありません。答案に残っているのは、才能の判定ではなく、今回の準備と出題の間にあった「ずれ」です。ずれが見つかれば、次に変える場所も見つかります。
今日することは一つだけ。答案を15分だけ開き、間違いを三つに分けてみましょう。全部をやり直すのは、そのあとで大丈夫です。
点数は「今の能力」ではなく「今回の準備の結果」です
小学校のテストと、中学校の定期テストでは、準備の仕方がかなり違います。範囲が広くなり、授業で扱った説明、学校ワーク、プリント、教科書の細かな内容まで重なります。「授業は分かっていたのに、点にならなかった」ということも珍しくありません。
ここで、「もっと長く勉強しなければ」とだけ考えると、次も同じところで困ることがあります。必要なのは、勉強時間を一律に増やすことではなく、点にならなかった理由を見分けることです。
たとえば、漢字を覚えていなかったのか。数学の解き方は分かっていたのに符号を間違えたのか。英語の文法そのものが分からなかったのか。同じ失点でも、直し方はまったく違います。
最初の15分で、間違いを三つに分けてみましょう
答案が返ってきたら、点数の横に、次の三つの印をつけてみてください。
- 覚え直せば取れた問題:用語、漢字、英単語、公式などを知らなかった。
- 分かっていたのに落とした問題:計算、読み違い、書き忘れ、時間不足などがあった。
- 解き方から分からなかった問題:説明を読んでも、なぜその答えになるのか分からない。
「覚え直せば取れた問題」は、覚える範囲を小さくして、答えを隠しながら確認します。「分かっていたのに落とした問題」は、途中式、見直しの順番、時間の使い方を直します。「解き方から分からなかった問題」は、基本問題まで戻るか、早めに先生へ質問します。
この分け方をすると、「全部できなかった」という大きな不安が、「英単語を覚え直す」「方程式の基本を聞く」といった小さな課題に変わります。反省は、自分を責めるためではなく、次の一手を決めるために使うものです。
全部を同じように解き直さなくても大丈夫です
復習は大切です。ただ、すべての問題に同じ時間をかける必要はありません。
国語や英語の教科書本文では、同じ文章が次のテストにそのまま出るとは限りません。本文を一から暗記し直すより、「授業で強調されたところから出たか」「ワークやプリントと似た聞かれ方だったか」「理由説明や内容一致など、どの形で問われたか」を確かめるほうが次につながります。
一方で、英文法、古文・漢文の文法、数学、理科の計算や仕組みは、次の単元の土台になりやすい内容です。ここを分からないままにすると、あとで覚えることが増えたときに苦しくなります。答えを写して終わるのではなく、「なぜこの式になるのか」「どのルールを使ったのか」を、自分の言葉で一度説明してみましょう。
優先したいのは、次の学習でも使う内容と、少し直せば次回すぐ点になる失点です。全部を完璧にすることより、効果の大きいところから直すことを考えてください。
「分かった」ではなく、何も見ずにできるかを確かめます
解説を読むと、分かったように感じます。けれど、テストでは解説を見ずに答えを出さなければなりません。そこで、解き直しの最後に、答えと解説を閉じて、もう一度だけ同じ問題に向き合います。
思い出そうとして答える練習は「検索練習(retrieval practice)」と呼ばれ、単に読み直すより長く覚える助けになることが、学習研究で繰り返し確かめられています。ただし、思い出せないまま放っておけばよいわけではありません。間違えたらすぐに解説を確認し、少し時間をあけて、もう一度何も見ずに答えます。
たくさん解く必要はありません。数学なら一問、英語なら一文、理科や社会なら一つの用語説明でも十分です。「見れば分かる」から「見なくても出せる」へ進めたかを、短く確かめましょう。
次のテストまでに変える行動は、一つか二つで十分です
テストのあとには、「次は毎日二時間やる」「ワークを三周する」と大きな目標を立てたくなるものです。けれど、部活や学校行事のある生活では、大きすぎる計画ほど続かず、できなかった自分をまた責めやすくなります。
まずは、今回の答案から一つか二つだけ選びましょう。
- 授業の翌日までに、ワークを一ページ進める。
- 間違えた問題に印をつけ、週末に一問だけ解き直す。
- 英単語を見て終わらず、日本語を隠して五個だけ答える。
- 分からない問題をためず、金曜日までに一つ質問する。
次のテストが近づいたら、前回の答案から「取り戻しやすい点」を探して、優先順位を決めます。具体的な組み立て方は、前回テストの分析から、直前期の勉強の優先順位を決める方法でも紹介しています。
保護者の方は、点数より「次に直せる場所」を一緒に探してください
点数を見た直後の子どもは、自分でも十分にがっかりしています。そのときに「どうしてできなかったの」と聞かれると、答案を見直す前に、守りに入ってしまうことがあります。
まずは「どの問題が惜しかった?」「次に一つ変えるなら、どこがよさそう?」と聞いてみてください。予定を立てるときも、大人が全部決めるより、本人が選んだ小さな行動を一緒に確かめるほうが続きやすくなります。
ただし、解説を読んでも分からない単元が多い、何から手をつければよいか本人も整理できない、落ち込みが強く答案を開けないという場合は、一人で抱えさせず、学校や塾の先生に相談してください。つまずきが小さいうちなら、戻る場所も見つけやすくなります。
今回の悔しさを、次の作戦に変えていきましょう
今回の点数は、君の能力の結論ではありません。どこで点を落とし、どこなら変えられるかを示す、次のための資料です。
今日の一歩は、答案を15分だけ開き、間違いを三つに分けることです。そのうえで、「今週は英単語を五個ずつ答える」「数学の一問を先生に聞く」のように、変える行動を一つ決めてください。
大きな反省より、小さく具体的な修正のほうが、次のテストまで君を助けてくれます。点数は、これからの勉強の仕方で変えていけます。


