高一から始める大学受験準備。今すぐできる勉強と心構え。
1. 高一から受験を意識するメリット
1-1. 勉強のペースを早めに整えられる
大学受験の範囲は、高校3年間の学習内容がほとんどそのまま出題されます。高3になってから一気に取り戻そうとすると、どうしても時間が足りなくなりやすいです。高一のうちから少しずつ受験を意識しておくことで、日々の授業が「ただ受けるもの」から「受験本番に直結するもの」に変わっていきます。
人の記憶は、一度覚えたことをそのままずっと覚えていられるわけではなく、時間とともに少しずつ薄れていきます。ただし、短い時間でも繰り返し復習することで、記憶は長く安定しやすいことが分かっています。高一から「授業のあとに5〜10分復習する」「1週間後にもう一度見直す」といったサイクルを作っておくと、高2・高3のときに復習の負担がぐっと軽くなります。
早めにペースを整えておくことは、「高3の自分」を助ける貯金のようなものです。今の少しのがんばりが、受験直前の安心感につながります。
1-2. 志望校の選択肢が広がる
高一の成績は「まだ関係ない」と思われがちですが、実際にはここでの基礎力が、のちの志望校の幅を大きく左右します。特に英語や数学のように積み重ねが必要な教科は、高一の内容に苦手が多いと、高二・高三で伸びにくくなります。
逆に、高一からコツコツ取り組んでおくと、高2になったときに模試の判定が良くなり、「このレベルの大学も目指せるかも」と選べる大学のランクが一段上がりやすくなります。志望校を選ぶとき、「実力が足りなくて選べない」より「どこにしようか迷う」状態のほうが、気持ちにも余裕が生まれます。
将来やりたいことがまだはっきりしていなくても、「選択肢を狭めないために今できることをしておく」という気持ちで、高一からの勉強を積み重ねていきましょう。
2. 今すぐ始められる勉強習慣
2-1. 学校の授業を「受験目線」で復習する
高一からの受験準備と聞くと、「予備校のテキストを追加しないといけない」「難しい問題集をやらなきゃ」と思うかもしれません。でも、まず大事なのは、今すでにある「学校の授業」と「教科書・配布プリント」を最大限生かすことです。
具体的には、次のような流れを1日の中に組み込んでみましょう。
・授業中に「ここは入試で出そうだな」と思ったところに印をつけておく
・放課後か夜に、その日の授業で印をつけた部分だけでも見直す
・テスト前には、その印がついた部分を優先的に復習する
こうすることで、ただノートをとるだけの授業から、「入試で戦える知識を作る」授業に変わっていきます。時間がない日は、教科書やノートを3〜5分眺めるだけでもかまいません。「ゼロの日を作らない」ことが、受験勉強の土台になります。
2-2. 英単語・古文単語などのインプット習慣
大学受験では、どうしても覚えないといけない「暗記もの」があります。代表的なのが英単語や古文単語、漢字・語句、理社の用語などです。これらは、一気にやろうとすると苦しくなって続きませんが、毎日の少しずつの積み重ねで、驚くほど大きな差がつきます。
おすすめは、「毎日決まったタイミングで5〜10分だけやる」と決めてしまうことです。例えば、
・登校の電車の中は英単語だけを見る
・寝る前に古文単語を10個だけチェックする
・部活前の5分で理社の用語を見直す
といったように「場所や時間とセットで」習慣化すると、続けやすくなります。一度に完璧に覚えようとするより、「今日はなんとなく見た」「この単語、前も見た気がする」という体験を何度も積み重ねるほうが、結果的に定着しやすいです。
3. 教科別に意識したいポイント
3-1. 英語は毎日触れて「長文に強くなる」
英語は、大学受験でほとんどの学部・学科で必要になる重要科目です。単語や文法はもちろん大切ですが、高一のうちから「英語に毎日触れる」ことを意識しておくと、高2・高3での長文読解がかなり楽になります。
具体的には、
・英単語帳を毎日5分開く
・教科書の本文を音読する
・短い英文をスマホのメモやアプリで読む
など、内容はシンプルでかまいません。ポイントは、「勉強時間の長さより、触れる頻度」です。人の脳は、よく見るもの・よく使うものを「大事な情報」と判断して記憶しやすくする性質があります。英語を日常の中に少しずつ取り入れておくことで、「英語アレルギー」になりにくくなります。
3-2. 数学は「穴をつくらない」ことを最優先
数学は、どこか一つに苦手な単元があると、その後の内容が急に分からなくなる科目です。高一の内容は、高二・高三の発展内容の土台になるので、分からないところをそのままにしないことがとても大切です。
おすすめの取り組み方は、次の通りです。
・授業で「ん?」と思ったら、印をつけておく
・その日のうちか週末に、教科書の例題をもう一度自分の手で解いてみる
・どうしても分からない問題は、友だちや先生に早めに質問する
テストで満点を取ることより、「教科書レベルの基本問題ならだいたい解ける」状態をまずは目指しましょう。基本問題がしっかり解けると、応用問題にも対応しやすくなります。焦って難しい問題に手を出すより、土台を固めるほうが結果的に近道です。
3-3. 国語・理社は基礎用語の理解から
国語は「センスの教科」と思われがちですが、実際には語彙力や文章構造の理解など、トレーニングで伸ばせる部分が多くあります。特に現代文では、よく出てくる語句や接続表現(しかし、つまり、一方で、など)の意味が分かっていると、内容がぐっと読みやすくなります。
理科や社会も同じで、専門用語の意味をあいまいにしたまま公式や年号だけ覚えようとすると、すぐに忘れてしまいます。「この言葉は、ふだんの言葉で言うとどういうこと?」と自分なりに言い換えてみる習慣をつけると、理解が深まり、記憶にも残りやすくなります。
高一のうちは、「難しい問題集を解く」より「教科書に出てくる言葉をしっかり理解する」ことを優先しましょう。基礎用語が分かるだけでも、授業の理解度がかなり変わってきます。
4. 高一のうちに身につけたい心構え
4-1. 他人と比べすぎず、自分の成長を見る
高校に入ると、周りのレベルが一気に上がり、「あの子はもうあんなにできるのに…」と落ち込んでしまうことがあります。ただ、人それぞれ得意・不得意や、今まで勉強してきた内容が違うので、スタートラインもバラバラです。
大事なのは、「昨日の自分」「1か月前の自分」と比べてどうかを見ることです。例えば、
・英単語テストの点が少し上がった
・前よりも授業中に眠くならなくなった
・毎日10分の勉強が1週間続いた
こういった小さな成長も、立派な前進です。ノートの端に「今日できたこと」を1行メモしておくと、自分の変化に気づきやすくなり、モチベーションにもつながります。
4-2. 完璧より「続けること」を大事にする
受験勉強というと、「毎日2〜3時間勉強しないといけない」「集中してがっつりやらないと意味がない」と考えがちですが、現実には、部活や行事、家庭の用事などで、理想通りに時間を確保できない日も多いと思います。
そこで意識したいのが、「完璧を目指すのではなく、続けることを最優先にする」という考え方です。たとえ5分でも、10分でも、毎日何かしら勉強に触れていれば、勉強の「習慣」が守られます。習慣さえ途切れなければ、時間を多く取れる日に、自然と勉強量を増やしていくことができます。
「今日は全然できなかった…」と思う日でも、寝る前に英単語を5個見直すだけでOK、といったように、自分の中の「最低ライン」を決めておくと、心の負担も軽くなります。
5. 忙しい高校生活と受験勉強を両立するコツ
5-1. スキマ時間を「ミニ勉強タイム」に変える
高一は、部活や学校行事、友だちとの時間など、毎日があっという間に過ぎていきます。その中で「机に向かうまとまった時間」を作るのは、正直むずかしい日も多いはずです。
そこで活用したいのが、学校の休み時間や電車・バスの移動時間、寝る前の5〜10分などの「スキマ時間」です。こうした短い時間を「ミニ勉強タイム」として使うと、1日の合計勉強時間が大きく変わります。
例えば、
・通学時間は英単語アプリだけをやる
・休み時間に、前の授業のノートを1ページだけ見直す
・寝る前に、その日覚えたことをメモに書き出す
といったように、「スキマ時間ごとにやることを決めておく」と、迷わず取りかかれます。短い時間でも、積み重なると大きな差になります。
5-2. スマホとの付き合い方を決めておく
勉強の大きな敵になりやすいのがスマホです。通知が鳴るたびに気になってしまい、気づけば30分以上SNSを見ていた…という経験がある人も多いのではないでしょうか。
いきなり「スマホを完全にやめる」のは現実的ではありませんが、「使うルール」を自分なりに決めておくと、勉強との両立がしやすくなります。例えば、
・勉強中は別の部屋に置くか、カバンにしまう
・通知をオフにして、勉強後にまとめてチェックする
・寝る1時間前からはスマホを見ない
といったルールです。スマホのアプリには、使用時間を記録・制限できるものもあるので、それを活用するのも一つの方法です。「なんとなく触ってしまう時間」を減らすだけで、勉強に回せる時間が意外と増えていきます。
6. まとめ:高一からの一歩が受験本番の自信につながる
高一からの大学受験準備といっても、特別なことをする必要はありません。大事なのは、
・学校の授業と教科書を大切にすること
・英単語や基礎用語などのインプットを習慣にすること
・分からないところをためこまず、早めに解決すること
・他人と比べすぎず、自分の成長に目を向けること
・完璧を目指すより、「少しでも続ける」ことを優先すること
といった、シンプルだけれど続けると大きな力になる習慣と心構えです。
今の一歩は小さく見えるかもしれませんが、1年、2年と積み重なると、受験本番で大きな自信になります。「高一だからこそできる準備」がたくさんあります。今日からできそうなことを、ひとつだけでも始めてみてください。


