AI時代の勉強法:生成AI(ChatGPT等)を『壁打ち相手』にして英作文や要約を練習する方法
生成AIは英作文や要約の「壁打ち相手」にすると、練習の量と質を同時に高められます。
自分で書く→AIのフィードバック→自分で直すを回すことで、弱点が見え、表現の引き出しも増えるからです。
今日は10〜15分で英作文か要約を1本書き、AIの指摘を3つだけ選んで書き直してみましょう。
1. 生成AIを「壁打ち相手」にすると何が変わるか
生成AIを勉強に使うとき、多くの人は「答えを教えてくれる便利な先生」としてイメージしがちです。しかし、英作文や要約を伸ばすうえでは、AIを先生ではなく「壁打ち相手」にする方が、学習効果は高くなります。
壁打ち相手とは、あなたが投げたボール(自分の英文や要約案)をそのまま返すのではなく、「ここが少しズレているよ」「こうするともっと良くなるよ」と、形を変えて返してくれる存在です。返ってきたボールを見て、自分のクセや弱点に気づき、次の一投を調整していきます。
この「投げる→返ってくる→投げ直す」のサイクルをたくさん回せるのが、生成AIを壁打ち相手にする一番の価値です。
1-1. 「答えを聞く」から「一緒に考える」へ
英作文でありがちな使い方は、「この日本語を英訳して」「この課題文を書いて」とAIに丸ごと作らせてしまうことです。これは一見ラクですが、自分の頭はあまり動かず、試験や実際の場面で自力で書く力は育ちにくくなります。
壁打ち学習では、順番を逆にします。まず自分で書く。そのうえで、AIに「どこがおかしい?」「どう直したらもっと伝わりやすい?」と聞きます。AIはあなたの文章を材料にしてコメントするので、「自分の力+少しのサポート」という形になり、実力が伸びやすくなります。
イメージとしては、家庭教師に全部書いてもらうのではなく、解いた答案を見せて「どこが惜しい?」と相談する感覚に近いです。
1-2. 壁打ち学習のメリット(即時フィードバックと反復)
語学の習得では、「自分で出す」「間違いに気づく」「直してもう一度やる」の繰り返しがとても重要です。人に添削してもらうと時間がかかりますが、生成AIなら、書いた直後にフィードバックをもらえます。
また、人に何度も同じような質問をするのは気が引けますが、AIは何度でも文句を言わずに付き合ってくれます。これにより、同じパターンの英作文や要約を、少しずつ変えながら何度も練習することができます。
「分かったつもり」で終わらず、「できるまで」繰り返せる環境を作れることが、AIを壁打ち相手にする一番のメリットです。
2. 英作文をAIと練習する基本ステップ
英作文でAIを活用するときに大切なのは、「AIに書かせる」のではなく、「自分で書いたものをAIと一緒に直す」という姿勢です。ここでは、具体的なステップとプロンプト(AIへの頼み方)を紹介します。
2-1. まず自分で短く書く(素材と時間の決め方)
いきなり長文を書こうとすると、途中で止まってしまいます。最初は「短く、しかし何度も」がコツです。目安は次のようなイメージです。
- 語数の目安:中学生〜高校生なら40〜120語程度
- 文の長さ:5〜10文くらい
- テーマ:学校生活、部活、趣味、最近読んだ本や見た動画の感想など
- 制限時間:10〜15分で書き切る
内容はできるだけ具体的に書きますが、個人情報(本名・住所・学校名など)はぼかしましょう。「my friend」「my school」などの表現で十分です。
大切なのは、「完璧な英語」を目指すのではなく、「とりあえず最後まで書く」ことです。間違いは、あとでAIと一緒に直せば大丈夫です。
2-2. AIに添削してもらうときのコツ(プロンプト例つき)
AIに「直してください」とだけ頼むと、どこが大事なポイントなのか分かりにくい長文の解説が返ってくることがあります。見るべきポイントをあらかじめ絞っておくと、理解しやすくなります。
基本の流れは、次の3ステップです。
ステップ1:文法・スペルの大きなミスを知る
次の英文をチェックして、文法・スペルのミスを
「最大5か所」だけ指摘してください。
形式は「誤り→修正→理由(日本語で短く)」でお願いします。
(ここに自分の英文)
ステップ2:自然な表現にするヒントをもらう
上の英文を、意味を変えずに自然な英語に直した例を
2パターン示してください。
1つはシンプルな表現、もう1つは少し難しめの表現で。
変えた部分は太字にして、理由も一言ずつ日本語で説明してください。
ステップ3:自分で書き直すための「チェックポイント」を作る
私が自分で書き直せるように、
上の添削結果から「次に気をつけるポイント」を
3つにまとめて教えてください。
それぞれ1文ずつ、シンプルなチェック項目にしてください。
ここまで来たら、AIの書いた英文をそのまま写すのではなく、自分の文章を「もう1回ゼロから」書き直してみるのが理想です。AIから得たヒントを見ながら、同じテーマで再チャレンジしてみてください。
2-3. 表現の幅を広げる活用法(言い換え・コロケーション)
英語らしい文章に近づけるには、「単語」だけでなく「よく一緒に使われる組み合わせ(コロケーション)」を少しずつ増やしていくことが大切です。
たとえば「決める」を毎回 decide だけで書くのではなく、make a decision という組み合わせも知っておくと、表現の幅が広がります。
自分の書いた英文を材料に、次のように頼むと効果的です。
次の英文の内容に合う、「よく使われる英語の言い回し」
(コロケーション)を5つ教えてください。
それぞれについて、短い英作文の例も1文ずつ付けてください。
(ここに自分の英文)
出てきた表現を全部覚えようとする必要はありません。1日1つだけ選び、次の英作文で必ず使う、といった形で少しずつ積み上げていくと、無理なく定着していきます。
3. 要約力をAIと鍛える方法
要約力は、英語だけでなく日本語でも一生使うスキルです。文章の「一番言いたいこと」と「それを支える理由」をつかむ力が育つと、ニュースや本の理解が早くなり、自分の意見も整理しやすくなります。
生成AIは、「自分の要約が元の文章とズレていないか」をチェックする役として使うと、とても頼りになります。ただしここでも、最初からAIに要約させるのではなく、「自分で要約→AIにチェックしてもらう」という順番がポイントです。
3-1. 要約の型を決める(1文→3文→箇条書き)
要約が苦手な人は、「どこまで削っていいのか」が分からなくなりがちです。そこで、あらかじめ「型」を決めてしまうと迷いにくくなります。
おすすめの型は次の3つです。
- 1文要約:その文章の一番大事な主張を1文でまとめる
- 3文要約:主張/理由/具体例(または結論)を1文ずつにする
- 箇条書き要約:重要なポイントを3〜5個に分けて並べる
最初は日本語で練習し、その後で英語で同じことをやってみると、負担が少なくなります。英語で要約するときも、まずは語数を少なめに設定しておくと良いでしょう。
3-2. AIに「採点者」になってもらうプロンプト
自分で作った要約をAIに見てもらうときは、「主張がズレていないか」「大事な点を落としていないか」「余計な情報が入っていないか」の3つに絞って評価してもらうと分かりやすくなります。
次の原文と私の要約を比べて、次の3点からコメントしてください。
1)主張が合っているか
2)重要なポイントの抜けがないか
3)余計な情報が入っていないか
その後、私が直すべき点を2つだけ挙げてください。
【原文】
(ここに原文)
【私の要約】
(ここに自分の要約)
評価をもらったら、その場で要約をもう一度書き直してみましょう。AIに「改善例」を書いてもらう前に、自分で修正案を考えることで、読み取る力がぐっと伸びます。
3-3. 自分の言葉に変えるパラフレーズ練習
要約がうまい人は、原文をそのまま写すのではなく、「意味は同じだけれど言い方は自分なり」という形に言い換えています。これがパラフレーズの力です。
AIには、言い換えの例を出してもらい、そのうえで自分でもう1つ別の言い方を作る、という使い方が合っています。
次の文を、意味を変えずに英語で3通りに言い換えてください。
難易度は「やさしい/ふつう/少し上級」に分けてください。
(言い換えたい英語の文)
AIから3つの案を受け取ったら、それらを参考にして、自分の「第4の案」を書いてみてください。AIの案をそのままコピペするのではなく、「どの言い方が自分には使いやすそうか」を選びながら真似していくことで、表現のストックが少しずつ増えていきます。
4. 続けるための工夫と注意点
生成AIを使った学習は、うまくハマるととても楽しくなりますが、やり方を間違えると「AIにやらせっぱなし」になってしまうこともあります。ここでは、続けやすくする工夫と、守っておきたいルールをまとめます。
4-1. 15分×週5日のおすすめメニュー
忙しい人でも回しやすい、1日15分・週5日のメニュー例です。全部できなくても、真似しやすいところから取り入れてみてください。
- 月:英作文(40〜120語)をテーマ自由で1本書く
- 火:その英作文をAIに添削してもらい、指摘を3つだけ選んで書き直す
- 水:短い文章(日本語でも英語でもOK)を選び、1文要約→3文要約を作る
- 木:水曜の要約をAIに評価してもらい、ズレを直して再度要約を書く
- 金:今週の「誤り→正しい形」を5つ選び、簡単な復習カードを作る
土日は、できる週だけでかまいません。大事なのは、「少しの時間でも続けること」です。1日さぼっても、翌日からまた再開すれば十分です。
4-2. Before/Afterを残して成長を見える化
人は、成長を感じられないと途中でやる気が落ちやすいものです。そこで、「最初に書いた文」と「直した後の文」をセットで残しておくことをおすすめします。
ノートやメモアプリ、Googleドキュメントなど、何でもかまいません。同じテーマで書いたBefore/Afterを並べて見てみると、「前より自然になっている」「文のつながりが良くなっている」といった変化に気づきやすくなります。
また、よく出てくるミスには自分なりの名前をつけておくと、意識しやすくなります。たとえば「冠詞ぬけ病」「前置詞まちがえがち」「時制ゆるみ」など、少し笑ってしまうくらいの名前で十分です。
4-3. 宿題・テストでの使い方とルール
最後に、AIを使うときに気をつけたいルールについて触れておきます。これを守っておかないと、せっかくの学びが「カンニング」に近いものになってしまいかねません。
- 学校や塾が定めているルールに従う(AIの使用が禁止・制限されている課題もある)
- テストや小テストでは使わない(自分の実力を知る機会を失わない)
- 宿題はまず自分で解き、最後のチェックやヒントとしてAIを使う
- 本名や住所、学校名、顔写真などの個人情報は入力しない
- 本や有料教材の文章を丸ごと貼り付けない(引用は短く要点だけ)
そして何よりも重要なのは、「AIの答えを絶対の正解と思い込まない」ことです。AIの提案はあくまで「仮説」として扱い、辞書や参考書、先生の説明などと照らし合わせながら、自分の中に取り込んでいきましょう。
生成AIは、正しく使えばとても頼もしい「壁打ち相手」になります。自分のペースで、少しずつ仲良くなっていきましょう。

