英検準1級 第3回の講評(本校塾長の所感まとめ):難度の傾向と対策ポイント
本記事は、慶京セミナー本校塾長が「英検準1級 第3回」を解いたうえでまとめた講評をもとに、読みやすく整えつつ、理解しやすいよう補足を加えたものです。受験直後の振り返りはもちろん、次回以降の学習計画づくりにも役立つように、大問ごとにポイントを整理します。
1. 大問1・2(単熟語・空所補充)の講評
1-1. 大問1:単語は全体として易しめ、ただし一部は要注意
まず大問1(単語)は、近年の傾向どおり、全体の難易度が少しずつ下がってきています。今回も「知らないと手が止まる」問題は多くありませんでした。
その中で、塾長が「やや難度が高かった」と挙げているのは次の番号です。
- 5番/7番/8番/11番/14番
大問1は、意味が完全に分からなくても、前後の語感や文の型から「これは違う」と言える選択肢を落としていくと意外と残ります。いわゆる消去法が機能しやすい回でした。
ただし、特に14番は、選択肢同士が近い意味合いに見えやすく、消去しきれない人が出やすかった印象です。単語問題ほど、「何となく」で選ぶと外れやすいので、最後に残った選択肢が本当に文脈に合うかを一度だけ確認する癖をつけると安定します。
1-2. 大問1:熟語は17番・18番が少し分かりにくい
熟語(イディオム)では、17番・18番がやや取りづらかったとのことです。熟語は「単語の意味を足し算しても意味にならない」ことが多いので、覚え方を工夫すると効率が上がります。
たとえば、熟語は単独で暗記するよりも、短い例文(10語程度)でセットにして覚える方が、記憶に残りやすくなります。さらに、似た熟語と並べて「何が違うか」を言えるようにしておくと、本番の迷いが減ります。
1-3. 大問2:19番〜24番に目立った難問はなし
大問2(19番〜24番)は、これといった難問はありませんでした。選択肢も素直で、本文の要点(段落ごとの言いたいこと)さえ取れていれば、安定して得点しやすい構成です。
言い換えると、細部の単語を100%知らなくても、「この段落は結局何を主張しているか」を押さえられている人ほど有利な回でした。
2. 大問3(長文読解)の講評
2-1. 1つめの長文:25番は精読しないと引っかかりやすい
大問3に入ると、全体として語彙の負荷が上がってきます。最初の長文で「ややこしかった」のは25番です。
このタイプは、選択肢の前半か後半に「落とせるポイント」が隠れていることが多い一方で、本文と選択肢の対応を雑に取ると引っかかりやすい問題です。部分的に合っている表現に飛びつかず、選択肢を前半・後半に分けて、両方とも本文で裏が取れるかを確認するのが安全です。
2-2. 労働運動の長文:28番が難しめ、29・30は語彙勝負
次の社会労働運動に関する長文では、28番がやや難しめでした。理由は、本文の表現をそのまま拾うのではなく、少し高度な言い換え(パラフレーズ)で選択肢が作られていたためです。
また29番・30番は、単語力が不足していると厳しく感じた人もいるかもしれません。ただし、今回の選択肢は素直だったため、消去法でも取りやすい問題ではあります。31番は比較的取りやすい(易しめ)という所感です。
2-3. 「捨てるならここ」になりやすい範囲と、今回取り組みやすかった点
塾長の講評では、今回も「捨てるとしたら」28番〜31番の労働問題の長文が候補になりやすい、という判断でした。語彙とパラフレーズの両方が重なると、時間を消耗しやすいからです。
一方で、今回は複数段落にまたがって聞かれるタイプの設問がなく、取り組みやすい面もありました。段落ごとに要旨を短くメモしていけば、設問の根拠を探す時間が短くなり、焦りにくくなります。
3. 大問4(要約問題)の講評と、70語に収めるコツ
3-1. いつもと違うパターン:段落末ではなく「中盤のトピック」から拾う
今回の大問4(要約)は、いつもとパターンが違いました。これまでは第1段落の最終文から要約の核を抽出する形が多かったのに対し、今回は段落の中盤からトピックを抜き出すタイプでした。
とはいえ、極端に難しいわけではなく、代名詞(it / they など)から前を探して結合させるような手間も、いつもより少なかった印象です。「主語は何か」「その主語について何を言っているか」を丁寧に追える人ほど、書きやすかったはずです。
3-2. メリットはまとめやすいが、デメリットで70語を超えやすい
第2段落のメリットに関する部分は比較的まとめやすい一方で、関係代名詞(which / that など)をうまく使えないと、文が伸びて語数が増えやすくなります。もし苦しければ、無理に関係代名詞にこだわらず、分詞や短い言い換え表現で圧縮するのが現実的です。
厄介なのは後半のデメリット部分です。情報量が多く、制限語数の70ワードを超えやすいので、コンパクトに要約する工夫が必要になります。場合によっては、要素を一部削らざるを得ない場面も出てきます。
このときは、いったん日本語で「結局の不利は何か」を抽象化してから英語に戻すと、余計な具体を削りやすくなります。具体例や細部を詰め込みすぎず、原因→結果、またはメリット→デメリットの骨格を優先するのがコツです。
3-3. こういう場面で効く英文テクニック:分詞構文と無生物主語
語数制限が厳しい要約では、文を短くつなげる技術がそのまま得点力になります。今回のような場面では、特に次の2つが活躍します。
- 分詞構文:文を圧縮しつつ、因果や付帯状況を自然につなげやすい
- 無生物主語構文:人を主語にしないことで、説明文がすっきりしやすい
「書けるけど長くなる」という人ほど、これらを“使う練習”ではなく“短くするために使う練習”に切り替えると、70語の壁が越えやすくなります。
4. 大問5(自由英作文)の講評:自動運転車を公道に走らせるべきか
4-1. 今回のテーマは比較的書きやすい部類
大問5(自由英作文)は、「自動運転車を公道に走らせるべきか」がテーマでした。賛成・反対のどちらでも理由を作りやすく、論点が思いつかずに困るタイプではなかった印象です。
その分、理由を並べるだけで終わると、主張が薄く見えやすいので、具体例で補って説得力を出すことが重要になります。
4-2. 賛成派の書き方:利便性+事故減少の流れが作りやすい
賛成の立場を取るなら、まずは利便性を軸に組み立てると書きやすいでしょう。たとえば、移動中にスマホで連絡を取ったり、他の作業に時間を回せたりする点は説明しやすい論点です。
加えて、安全面の主張として「居眠り運転やスピード違反が減り、制限速度を守りやすくなることで事故件数が減るのではないか」といった流れも作れます。便利になる理由と、安全が高まる理由をセットにすると、文章のバランスが取りやすくなります。
4-3. 反対派の書き方:責任・安全・雇用の3点が柱
反対の立場の場合、まず大きな論点になるのが「責任の所在」です。交通事故や道路交通法違反が起きたとき、責任が人間と自動運転車(あるいはメーカー・システム)のどこにあるのかが問題になります。
次に安全面です。機械には欠点や故障があり、ネットワークエラーや操作ミスがスピード違反や事故につながる恐れがあります。また現状の自動運転車は、突然の飛び出しや追い越し車への対応が遅れる場面がある、という不安も主張として組み立てられます。
さらにもう一つのポイントとして、バスやタクシーの運転手など、旅客業に従事する人の仕事を奪うリスクに触れることもできます。安全と制度の問題だけでなく、社会への影響に話を広げられると、内容に厚みが出ます。
4-4. 書きやすい回ほど「具体例」で差がつく
今回のテーマは理由が思いつきやすいぶん、答案同士が似やすい回でもあります。そこで差がつきやすいのが具体例です。
たとえば「いつ」「どんな場面で」「誰にとって」便利(または危険)なのかを1つ入れるだけで、文章の説得力が上がります。具体例は長く書く必要はなく、短い一文でも十分効果があります。
5. まとめ:単熟語は少し上がり、ライティングは易化。総合はいつも通り
全体を通して見ると、単熟語は少しだけ難易度が上がっており、「第3回の英検らしい」手応えだったというのが塾長の所感です。一方でライティングが書きやすくなった分、トータルの難易度は例年どおり(いつも通り)に落ち着いた印象でした。
復習としては、難しかった番号(特に14番、そして長文の25番・28番)を「なぜ迷ったのか」まで言語化しておくと、次回の伸びが早くなります。知識不足なのか、根拠の取り方なのか、時間配分なのかを切り分けていきましょう。

