【2026共通テスト国語】今年の問題を徹底講評|来年受験生向け「読み方」と「学習法」
今年(2026年1月実施)の共通テスト国語を、「来年受験する高校生」に向けて講評します。本文の直接引用は避けつつ、出題の狙い・つまずきやすい点・来年に向けた学習のポイントを、できるだけ具体的にまとめました。
1. 2026共通テスト国語の全体像
1-1. 今年の国語で一番問われた力
今年の国語は一言で言うと、「内容は理解できる」だけでは点が伸びにくく、“根拠の取り方”と“選択肢の比較精度”が勝負を分けるセットでした。
- 現代文:抽象的な概念(価値・美・他者など)を、具体例の描写と結びつけて整理できるか
- 小説:感情の揺れを「出来事→心理→言動」の因果で説明できるか
- 実用的文章:資料を“読む”だけでなく、目的に合わせて“使う(編集する)”力があるか
- 古文・漢文:文法の機械処理だけでなく、場面・人間関係・論理展開まで踏み込めるか
1-2. 来年受験生が最初に意識すべきこと
共通テストは「問題文を全部きれいに理解してから解く」よりも、“設問が求める情報を拾いにいく読み方”が有利です。
そのために、次の2つを早めに習慣化してください。
- 段落ごとに役割を言語化(主張/具体例/反論/まとめ)
- 選択肢を比較して“ズレの種類”を特定(主語ズレ、因果ズレ、範囲ズレ、言い過ぎ・言い換えミスなど)
2. 第1問(論理的文章)の講評と対策
2-1. テーマの特徴:抽象語を「体験」と「制作」に往復させる文章
第1問は、筆者の幼少期の体験(他者とうまく噛み合わない感覚)から出発し、そこから「美」や「芸術」に関わる考え方へ展開していくタイプでした。抽象語が多い一方で、文章自体は「体験→概念化→制作行為→再整理」という流れがはっきりしており、流れさえ掴めれば設問は解きやすい構成です。
2-2. 設問の狙いと“正解に寄せる”読み方
問2(解答:③)は、「他者が分からない」ことと「景色が分からない」ことの違いを問う設問でした。ポイントは、筆者にとって後者の“分からなさ”が、社会的な圧力や評価から距離を置けるため、むしろ心地よさにつながる点です。抽象語に飲まれず、筆者がその感覚をどう評価しているか(苦しさなのか、救いなのか)で判定します。
問3(解答:②)は、制作行為を「計画通りに形にする作業」として読むと外します。ここでは、素材を扱う過程で生まれる予期せぬ変化が、作り手の発想や最終形に影響するという“相互作用”が核心です。選択肢は、能動/受動のバランス(自分が支配するのか、素材に揺さぶられるのか)に注目すると絞れます。
問4(解答:②)は、「私的体験を一般化する」場面の読み取りです。筆者は自分の経験がそのまま普遍だと言い切るのではなく、参照する思想(哲学者の影響など)を踏まえながら、個人的体験を“他者と共有可能な問題提起”へ持っていく姿勢を示しています。文章が急に抽象化する箇所ほど、段落の目的(一般化・整理・再提示)を意識すると安定します。
問5(解答:③)は、「芸術体験が何を気づかせるのか」を問う設問でした。ここは、他者とのコミュニケーションで生じる“分からなさ”とは別種の、“言葉や共有の枠に収まらない何か”に気づかされる、という方向に寄せます。
問6(解答:①)は、制作の意味を「社会的価値」や「承認欲求」へ寄せるとブレます。むしろ、作り手自身が揺さぶられる体験(予測不能さ・未知との遭遇)を作品化し、鑑賞者にもその“未知”を手渡したい、という方向が軸です。
2-3. 来年に向けた学習ポイント
- 抽象語を“自分の言葉で言い換える”練習(例:他者のわからなさ=評価軸が共有できない、など)
- 筆者の評価語にマーカー(心地よい/苦しい/望ましい、など。ここが選択肢の正誤に直結しやすい)
- 「制作・行為・体験」系は主語と受動性に注意(自分が動かすのか、動かされるのか)
3. 第2問(小説)の講評と対策
3-1. 物語の軸:母の生き方と、主人公の“後悔”が現在を揺らす
第2問は、家族(特に母)の言動と、その記憶が主人公の現在に与える影響を読む問題でした。小説は「気持ちを当てる」だけではなく、気持ちが生まれる原因(出来事・言葉・行為)を文章上の根拠で示せるかが問われます。
3-2. 設問の狙いと解き方
問1(解答:②)は、描写(母の動き)から「何をしているか」を具体化する設問です。ここは、場面の小道具や身体動作が“別の行為”を連想させるタイプで、読み落とすと一気に外します。小説の問1は、しばしば「目に見える描写」を丁寧に拾うのが近道です。
問2(解答:③)は、母がある言葉によって何を突きつけられたのか、という心理の読み取りでした。重要なのは、単にショックを受けた、ではなく、家族から理解されていない現実を自覚したという方向へまとめることです。「誰の発言か不明」などの不確かさがあっても、母が受け取った意味(孤立・断絶)を中心に据えると安定します。
問3(解答:④)は、複数の表現(波線部)を、場面の連続性の中で説明できるかを問う設問でした。ここは、単語の意味だけでなく、前後の流れ(沈黙→表情→動作)で“その動作が何を示すか”を押さえます。選択肢が「気持ち」か「状況」か「未来への志向」か、どこに重心を置くかでズレやすいので、本文の時間方向(今の場面/過去の回想/先の予感)を揃えて判断します。
問4(解答:①)は、母の発言の動機を問う問題でした。ここは、「子をコントロールしたい」ではなく、母の置かれた状況(残された時間・周囲の視線・子の将来)から、自分の意志で子の進路や生き方に影響を残したいという切実さに寄せる読みが大切です。
問5(解答:②)は、表現の説明のうち“不適当”を選ぶタイプです。こういう設問は「それっぽい文化論・一般論」を混ぜてくることが多く、本文がそこまで言っていないのに“大きな話”にしている選択肢が落とし穴になりがちです。本文の役割(何を象徴しているか)から外れていないかを確認します。
問6(解答:①・④)は、主人公がある記憶を「残酷」と感じる理由を複数の観点で整理する設問でした。ここは、残酷さが「母の愛そのもの」ではなく、主人公が“今の生き方を決めようとする瞬間”に、過去が揺さぶりをかけてくる構造にある、と押さえるとブレにくいです。さらに、母への負い目(放置してしまったことへの痛み)と、人生の軸が定まらない迷い、という二層が絡みます。
3-3. 小説対策:点が伸びる練習法
- 「出来事→感情→行動(or発言)」を1セットで要約(各場面で1行でOK)
- 象徴(小道具・反復語)をメモ(何度も出るものは、心理のスイッチになりやすい)
- “今”と“回想”の切り替わりに線(時間のズレが選択肢ズレに直結)
4. 第3問(実用的文章+資料)の講評と対策
4-1. 今年の実用文は「資料読解+編集判断」が中心
第3問は、資料を読んで終わりではなく、「文章の目的に合うかどうか」で情報を取捨選択する力が問われました。共通テストの実用文は、ここ数年ずっと“書く力”というより“編集する力”に寄っています。
4-2. 典型の落とし穴:言い換えの微差と、趣旨に合わない“良い話”
問1(解答:③)は、筆者(書き手)が読者に感じてほしい中心(感情の核)を、選択肢の中から最も一致する形で選ぶ問題でした。似ている選択肢ほど、語の違い(営み/習性など)でズレます。「本文が強調したいのは何か」を先に確定してから選びます。
問2(解答:③)は、段落の趣旨に合わない箇所の削除。ここは、“面白い表現”や“臨場感”があっても、段落の目的からズレていれば切る、という編集者視点が必要です。今後も実用文では、このタイプ(削除・追加・順序入替)が頻出です。
問3(資料の特徴)は、資料が「時間軸」「空間(場所)」「数値」「因果」のどれに強いかを見分ける問題でした。資料のタイプ判定を先に終わらせると、選択肢比較が一気に楽になります。
4-3. 来年に向けた学習ポイント
- 段落ごとに“目的ラベル”(説明/具体例/印象づけ/まとめ)を付ける
- 資料は最初に「何が分かる資料か」を一文で言う(時系列・比較・分布・因果など)
- 削除問題は「段落の主張に必要か?」で切る(良い表現かどうかは二の次)
5. 第4問(古文)の講評と対策
5-1. 物語は“儀礼の場面”と“人間関係”が鍵
古文は、琴の演奏や出産をめぐる場面の中で、人々の発言・反応・評価が描かれていきます。こうした場面は、「誰が誰に敬意を向けているか」「誰が主導権を持っているか」が読みの軸になります。
5-2. 設問タイプ:語句解釈・助動詞・敬語・内容一致
今年も王道ですが、助動詞と敬語が“意味”に直結する出方でした。特に、伝聞・推量・意志などを、場面の空気(儀礼/軽口/真剣)と結びつけて処理できると強いです。
また、内容一致(問3〜問5)は、現代文と同じで「それっぽい」ではなく、登場人物の行動の順序を合わせるのが基本です。誰が相談し、誰が動き、何が運ばれたのか。ここが曖昧だと選択肢で迷います。
5-3. 古文の点数を安定させる3本柱
- 助動詞は“意味+用法”をセット暗記(む=意志/推量/婉曲、など)
- 敬語は「誰→誰」だけ先に確定(尊敬=主語が上、謙譲=目的語が上)
- 内容問題は“人の移動・物の移動・発言者”に線
6. 第5問(漢文)の講評と対策
6-1. 主張の骨格:派閥争いへの批判と、詩の本質観
漢文は、唐詩か宋詩か、という話題を入口にしつつ、単なる好みの話ではなく「流派争い」や「評価の歪み」を批判する論の運びでした。共通テスト漢文は、返り点や語法に加えて、論の方向(肯定/否定/皮肉)を掴めるかが重要です。
6-2. 設問で問われたこと
- 語句の意味:文脈で「必ずしも〜ではない」「趣旨」「言葉を理解する」などの定番語彙を判定
- 書き下し:否定や選択(AでもBでもない)の形を崩さずに整える
- 返り点:受け身・使役などの形が絡むところで、主語関係が崩れやすい
- 解釈:争いの構図(同党をかばい異党を攻撃)を過不足なく言い換える
- 資料読解:追加資料の比喩(玉・瓦など)を、本文の主張と一貫する形で捉える
6-3. 漢文は「型」+「論理」で伸ばせる
- まず型:否定形、疑問反語、使役・受け身、比喩の定番処理
- 次に論理:筆者が批判している対象と、評価している基準(本質)を分けて整理
- 最後に選択肢比較:主語(誰が何をするか)と評価語(良い/悪い)を一致させる
7. 来年受験生のための学習ロードマップ
7-1. 1〜2か月でやるべき土台固め
- 現代文:段落要約(1段落1文)+選択肢のズレ分類
- 古文:助動詞・敬語・識別を毎日10分(短くていい)
- 漢文:句形暗記と書き下しの反復(返り点は「読むため」ではなく「主語を崩さないため」)
- 実用文:資料のタイプ判定(比較/推移/因果/分布)を習慣に
7-2. 週の学習メニュー例(忙しい人向け)
- 平日:現代文1題(30〜40分)+古文or漢文の基礎10〜15分
- 週末:共通テスト形式のセット演習(時間を測って)+復習(選択肢のズレ分析)
7-3. 本番の時間配分の考え方
制限時間内で最大得点を狙うには、「詰まったら戻る」の優先順位を決めるのが有効です。
- 現代文は、迷いすぎると崩れやすいので、根拠が薄いなら一旦マークして先へ
- 古文・漢文は、文法処理で止まらないよう“型”を先に自動化
- 実用文は、資料の読み取りに時間を使いすぎない(最初に“何の資料か”を決める)
8. まとめ
今年の共通テスト国語は、ジャンルごとの読み方を切り替えつつ、最終的には「根拠に戻って選択肢を比較する力」が得点を決める内容でした。来年受験する人は、難しい問題を“気合いで読む”より、読解の型(段落役割/主語確認/因果整理/資料タイプ判定)を早めに身体化させるのが一番の近道です。
今からの積み重ねで、国語は必ず安定します。焦らず、しかし手順は具体的に。来年の本番で「読めるのに落とす」を減らしていきましょう。

