大学受験対策おすすめ本① ― 『入門英文法の核心』徹底レビュー|レベル・勉強法・併用参考書まで解説

入門英文法の核心 お役立ち

『入試につながる本当の基礎力 大学入試 入門英文法の核心』レビュー&効果的な使い方【慶京宇治小倉校おすすめ】

1. 『入門英文法の核心』はどんな参考書?

1-1. 基本データとコンセプト

慶京セミナー宇治小倉校で、英語の基礎固め用として強くおすすめしているのが『入試につながる本当の基礎力 大学入試 入門英文法の核心』(以下『入門英文法の核心』)です。スタディサプリでもおなじみの英語講師・関正生先生による、高校英文法の“入口”を固めるための1冊です。

出版社はKADOKAWA、刊行は2023年9月ごろ、ページ数は300ページ超と、しっかり腰を据えて取り組むタイプの本です。薄い要点ノートではなく、「これ1冊で高校英文法の土台を作る」イメージに近い参考書です。

コンセプトは「大学進学を決意した高校生が最初に取り組む英文法の本」。目標としては、入試の文法問題で日東駒専レベルなら7割、MARCHレベルなら5割の正答を狙えるようになること(語彙問題を除いた文法問題ベース)が想定されています。あくまでスタート地点用の本ですが、その後の伸びに大きく影響する“土台作り”の役割を担っています。

内容は全部で21のテーマ(冠詞・名詞・代名詞・形容詞・副詞・接続詞・文型・現在形・完了形・仮定法・助動詞・不定詞・動名詞・分詞・分詞構文・受動態・比較・疑問詞・否定・関係詞)。高校英文法の骨格となる部分を、一つひとつ「核心」として解きほぐしていくスタイルです。

各テーマは、丁寧な解説→例文→入試問題という流れで構成されています。「読んで終わり」ではなく、「実際の入試問題で理解をチェックする」ところまでセットになっているのが大きな特徴です。

1-2. どんなレベルの受験生に向いている?

『入門英文法の核心』は、中学レベルの英文法をひと通り学び終えている高校生をメインターゲットにしています。高校1年〜2年の「そろそろ大学受験を意識し始めた人」、あるいは高校3年で「文法の土台をもう一度固め直したい人」にちょうど良いレベル感です。

一方で、「be動詞もあやしい」「三単現って何だっけ…」というレベルからの完全なやり直し用ではありません。もともと「大学受験のための入門書」として設計されており、「英語そのものの入門書」ではないからです。高校英語の完全初心者が最初の1冊として選ぶと、説明の密度の高さに少し圧倒されてしまうかもしれません。

目安としては、「中学英語の内容を、説明してもらえば『ああそんなのあったな』と思い出せる」くらいの人なら、ちょうど良い負荷で進められるイメージです。

英語がもともと得意な高校生にとっては、バラバラだった知識が一本の線でつながる感覚が得られやすく、「分かっていたつもりの文法を、ちゃんと“使える知識”に格上げしてくれる本」というポジションになります。

2. 『入門英文法の核心』の特徴と他の文法書との違い

2-1. 品詞から始まる「順番」が生む理解のしやすさ

多くの高校英文法の参考書は、「時制(現在・過去・未来)→助動詞→不定詞…」という順番で進みます。これに対して『入門英文法の核心』は、あえて「品詞」からスタートする構成になっています。

最初のパートは「冠詞・名詞・代名詞・形容詞・副詞・接続詞」といった“単語の種類(品詞)”に集中し、そのあとに「文型」が来て、さらに時制や仮定法などの有名な単元が続きます。

これは、「英語は〈単語の種類(品詞)+並び方〉で決まる」という考え方を、最初にきちんと押さえておきたい、という設計思想があるからだと考えられます。品詞の役割が分かっていると、長文を読むときにも「どこが主語で、どこが動詞で、どこが飾りなのか」が見抜きやすくなり、後々の英文解釈にも大きく効いてきます。

学び方としても、まず「骨組み」を理解してから細かい話に入ることで、知識どうしのつながりが見えやすくなります。品詞→文型→各単元という順番は、英文法という大きな建物の「設計図」を最初に見せてから部屋の細部を見ていくイメージに近い構成です。

2-2. 入試問題で「わかる」を「解ける」に変える構成

もうひとつ大きな特徴は、「入門書なのに、全ての章で実際の入試問題を扱っている」という点です。やさしいオリジナル問題だけで終わる入門書も多い中、『入門英文法の核心』は最初から本番レベルの問題に触れながら進んでいきます。

もちろん、最初からスラスラ解けるとは限りません。むしろ1周目は「解説を読めば分かるけど、自力では解けない」問題も多いはずです。それでも、

・解説を読んで概念を理解する
・例文で具体的なイメージをつかむ
・入試問題で「どう問われるか」を確認する

という流れで学ぶことで、「説明を聞いて分かった気になって終わる」勉強から、「実際に点数につながる理解」へと自然にレベルアップしていけます。

学習の研究でも、「解き方が示された例題をきちんと読み、そのあとで自分の頭だけで解いてみる」というステップが、単に読み流すだけより理解を深めやすいことが知られています。『入門英文法の核心』は、この流れを1冊の中で完結させられるような構成になっているのが強みです。

3. 実際に使って感じるメリット・デメリット

3-1. メリット:本質から理解できるから忘れにくい

この本の一番のメリットは、「なんとなく丸暗記」ではなく、「なぜそうなるのか」という筋道から英文法を理解できる点です。『大岩のいちばんはじめの英文法』のような超入門書と比べると説明はやや本格的ですが、そのぶん、後から応用が利きやすい知識になります。

例えば、不定詞や分詞の単元では、用法をバラバラに暗記するのではなく、「もとの文がどう変形した結果その形になるのか」という視点で説明が進みます。背景のロジックまで押さえておくことで、表面だけを覚える勉強と比べて忘れにくく、初めて見る問題にも対応しやすい力になっていきます。

また、各テーマの最後に入試問題が配置されている構成は、「テスト効果(testing effect)」を自然に使えるようになっている点でも優れています。同じ内容を何度も読み返すだけよりも、自分で思い出そうとして問題を解く方が、長期的な記憶に残りやすい、という性質をうまく活かせるからです。

さらに、21テーマを何周かに分けて反復していくことで、「時間をあけて復習するほど記憶が定着しやすい(間隔効果)」という性質も取り入れやすくなります。慶京宇治小倉校でも、1周目→2周目→3周目と時間をあけながら周回する形で使ってもらうことを基本にしています。

まとめると、

・理屈をセットで理解させる解説
・実際の入試問題での確認
・周回しやすい21テーマ構成

この3つの設計が、科学的にも効果が期待できる学び方ときれいにかみ合っているのが、『入門英文法の核心』の大きな強みです。

3-2. デメリット:ゼロからの人には少しタフ

一方で、使う人によってはデメリットになり得るポイントもあります。

まず、「完全なゼロからの人向けではない」という点です。もともと高校英文法の入門書として作られているため、中学文法の土台が弱い状態でいきなり挑戦すると、説明の密度の高さに圧倒されてしまうことがあります。「高校英語の初学者にはかなり厳しい」「英語そのものの入門書ではない」という印象を持つ生徒さんもいると思います。

次に、問題量自体はそこまで多くないため、「この1冊だけで文法問題を解きまくる」という用途には向きません。あくまで「理解の本」であり、本格的な演習は『英文法ポラリス』などの問題集で補う前提で考えるとバランスがいいです。

また、公式に掲げられている「日東駒専で7割、MARCHで5割(語彙問題を除く文法問題ベース)」という到達点は、今の入試全体を見渡すと、やや控えめな目標にも感じられます。ただ、これは「文法問題だけを見たときの最低ライン」と考えると分かりやすいと思います。実際の合格ラインは、ここに語彙・長文・リスニングなどを組み合わせて作っていくイメージです。

最後に、「説明が本格的なぶん、人によっては“読む体力”が必要」という点もあります。イラスト中心のライトな参考書と比べると文字量は多めです。ただし、そのぶん得られる見返りも大きいので、「多少頑張ってでも英文法の骨格を理解したい」というタイプの生徒さんには、むしろプラスに働く部分だと感じています。

4. 『入門英文法の核心』のおすすめ勉強法

4-1. 1周目:21テーマを一気に走り切る

ここからは、慶京宇治小倉校としておすすめしたい具体的な使い方をご紹介します。

まず1周目の目標は、「完璧にすること」ではなく「21テーマを止まらずに走り切ること」です。目安としては、1テーマあたり30分程度・全体で約10〜11時間ほど。1日2〜3テーマ進めば、10日前後で1周できます。

1テーマの中では、次のような流れで進めるのがおすすめです。

1. まず「核心」の解説をざっと読む(細かいところで詰まっても、いったん最後まで進む)
2. 例文を声に出して読み、訳を確認する
3. 章末の入試問題にチャレンジする(分からなければ印だけ付けて解説を読む)
4. 「今日習ったのは、ざっくり言うとこういう話」と日本語で一言まとめてみる

この「自分の言葉で一言まとめる」という作業は、専門的には「自己説明」と呼ばれ、内容理解を深めるのにとても役立ちます。難しい言葉を使う必要はまったくなく、

・不定詞は「〜すること」で名詞みたいに使える
・関係代名詞は、2つの文をつなぐ「〜の/〜している〜」みたいな役割

といったレベルでOKです。

1周目の段階では、「解説を見れば分かるけれど、自力ではうろ覚え」という状態でも問題ありません。とにかく21テーマを最後までやり切って、「高校英文法の地図」を一度頭の中に描いてしまうことを優先しましょう。

4-2. 2周目以降:テスト効果と反復で定着させる

1周目が終わったら、数日〜1週間ほど間を空けて2周目に入るのがおすすめです。この「間を空けて復習する」ことが、記憶の定着にはとても重要です。同じことを詰め込んで勉強するよりも、日を分けて何度か復習した方が、長期的な記憶には残りやすいことが知られています。

2周目以降は、次のようなやり方を推奨しています。

1. まず目次だけ見て、「冠詞」「文型」「比較」など各テーマについて、自分の言葉でざっくり説明できるか確認する
2. 説明できなかったテーマだけ、本編の解説を読み直す
3. 章末問題は、解説を見ずに解いてみて、迷った問題にチェックを付ける
4. 間違えた問題・迷った問題だけ解説を読み、なぜそうなるのかを確認する

3周目以降は、さらにスピードを上げて、

・目次を見て→頭の中で説明してみる
・危ういところだけ解説・問題を確認する

という形で、弱点だけを素早く潰していきます。目安としては、1周目およそ10時間、2周目7時間、3周目3〜4時間ほど。回数を重ねるほど1周にかかる時間はどんどん短くなっていきます。

このように「思い出そうとして解く→間違いを確認する」というサイクルを繰り返すことで、テスト効果を最大限に活かせます。テストを受けること自体が学習になり、読み返すだけより長く記憶に残りやすくなるので、章末問題はぜひ「自力で解いてから解説を見る」習慣をつけてください。

時間に余裕があれば、2〜3周終えたタイミングで、「何も見ずに問題だけ解いてみる日」を作るのもおすすめです。ここで7〜8割程度安定して取れるようになっていれば、文法の土台はかなりしっかりしてきていると考えてよいでしょう。

5. 志望校別・併用したい参考書と学習ルート

5-1. 日東駒専〜MARCHレベルを目指す場合

本書の公式な目標ラインが、日東駒専で7割・MARCHで5割の文法問題正答率なので、このレベルを志望している受験生とは特に相性が良いと感じます。

慶京宇治小倉校としておすすめしている学習ルートを、ざっくり書くと次のようになります。

【まだ中学英文法が不安な人】
中学英文法の基礎固め用参考書 → 中学英文法の演習用問題集 → 『入門英文法の核心』→ 文法問題集(『英文法ポラリス1』など)

【中学英文法は一応終わっている人】
『入門英文法の核心』→ 文法問題集(『英文法ポラリス1』や『レベル別英文法問題集』など)→ 長文・英作文の対策へ

実際、

・理解本としての『入門英文法の核心』
・演習本としての『英文法ポラリス1』

という組み合わせは、関先生の参考書どうしのつながりもよく、スムーズにステップアップしやすいです。

日東駒専〜MARCHレベルを本気で狙うなら、

1. 『入門英文法の核心』で文法の骨格を理解する
2. 『英文法ポラリス1』などで四択問題に慣れる
3. 単語帳・長文問題集で「実際の入試形式」に慣れる

という3ステップをきちんと踏んでいくことをおすすめします。

5-2. 難関大志望ならここまでやりたい

早慶・旧帝大・医学部など、難関大を志望している場合でも、『入門英文法の核心』は「最初の土台作り」として十分使えます。ただし、その後のステップアップが大切です。

関先生の参考書ラインナップ全体を見ると、文法分野の集大成として『真・英文法大全』が位置付けられており、『入門英文法の核心』はそこへつなぐ「橋渡し」のようなポジションにあります。

難関大を目指す場合の、ざっくりとしたルートは次のようなイメージです。

1. 『入門英文法の核心』で高校英文法の骨格を理解
2. 『英文法ポラリス1・2』やその他の問題集で演習を積む
3. (必要に応じて)『真・英文法大全』で細部まで整理し直す
4. 長文・英作文・英会話など、アウトプット系の演習を強化する

難関大レベルになると、細かい文法知識そのものよりも、「長文の中で文構造を素早く読み取る力」「複雑な英文を自分で組み立てる力」が勝負になってきます。『入門英文法の核心』で文法の土台を作っておくと、その後の英文解釈・長文・英作文の伸び方がかなり変わってくるはずです。

6. 『入門英文法の核心』はこういう人におすすめ

6-1. 今すぐ買っていい人のチェックリスト

最後に、『入門英文法の核心』が特にフィットしやすいタイプをまとめておきます。当てはまる項目が多いほど、「買ってよかった」と感じやすいはずです。

・「とりあえず暗記しろ」と言われる英語がしっくりこない
・中学までは英語が得意だったのに、高校英語になってから失速した
・学校指定の文法問題集をやっているが、「なぜその答えになるのか」が腑に落ちない
・将来、受験だけでなく、TOEIC・英検・英会話などでも英語を使うつもりがある
・関先生のスタディサプリの授業や、他の著書(『英文法ポラリス』『世界一わかりやすい英文法の授業』など)が性に合う

このあたりに「自分だ」と感じるなら、『入門英文法の核心』はほぼ間違いなく投資価値のある1冊です。高校英文法の基礎〜標準レベルを、入試レベルの問題にそのままつながる形で固めたいなら、手元に置いておいて損はありません。

逆に、「中学英語から本気でやり直したい」「英語への苦手意識が強く、文章を読むのもつらい」という場合は、もう少しやさしい超入門書を1冊挟んでから挑戦する方が、挫折しにくくなります。慶京宇治小倉校でも、そのような方には先に中学英文法のやり直し本を1冊終えてから、この本に進むようアドバイスしています。

6-2. 購入前によくある疑問Q&A

Q. どれくらいの期間で終わらせるべき?
A. 1周目は10〜14日ほどで走り切るのがおすすめです。1テーマ30分×2〜3テーマ/日なら、無理なく終えられます。その後、2周目・3周目をそれぞれ1〜2週間かけて回していくイメージです。

Q. この1冊だけで文法は完成しますか?
A. 「文法の土台を作る」という意味では、かなり強力な1冊です。ただし、四択問題を解きまくるタイプの問題集ではないので、本番形式の文法演習は『英文法ポラリス』などを必ず併用しましょう。

Q. 英語がかなり苦手でもついていけますか?
A. 中学英文法がほぼゼロの状態から始めるのは、正直かなり厳しいです。その場合は、もっとやさしい入門書で「be動詞・一般動詞・三単現・時制」などを先に復習してから、『入門英文法の核心』に移行する方がスムーズです。

Q. スタディサプリの関先生の授業と併用する意味はありますか?
A. あります。動画でざっくり全体像をつかみつつ、この本でじっくり読み込み&入試問題で確認、という組み合わせは、視覚・聴覚の両方を使えるので理解の定着に向いています。関先生の他の本(ポラリスシリーズや『真・英文法大全』)とのつながりも意識されているので、「関ルート」を通しで使いたい人には特に相性が良いです。

Q. 結局、買うべきかどうか迷っています…
A. 「暗記一辺倒の英文法から卒業したい」「将来も使える文法力を今のうちに身につけておきたい」と少しでも思うなら、十分に元が取れる1冊だと感じます。特に、高1〜高2の段階でこの本をやり切っておくと、高3以降の長文・英作文の伸び方がかなり変わります。

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慶京宇治小倉校としても、自信を持っておすすめできる1冊です。ぜひ一度手に取って、自分の英語の「土台づくり」に使ってみてください。


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