ゲーム・スマホとどう付き合う?子どもとケンカになりにくいルールづくりのコツ

お役立ち

ゲーム・スマホとどう付き合う?ケンカになりにくいルールづくりのコツ

1. ゲーム・スマホでケンカが起きやすい理由

1-1. 子どもにとってゲーム・スマホは「遊び場+連絡手段」

「もうちょっとだけ!」「今セーブできない!」——ゲームやスマホをめぐるやり取りは、どの家庭でもよくある光景です。保護者から見ると「ただの画面」でも、子どもにとっては、友達とつながる場所であり、自分の世界を広げる大事な「遊び場」です。

最近の研究では、ゲームやデジタルな遊びが、問題解決力や戦略的な考え方を育てたり、友達とのコミュニケーションの場になったりすることもわかってきています。うまく設計されたゲームは、子どもの自主性や創造性、感情の調整力、仲間との関係づくりを支える側面もあるとされています。

つまり子ども側からすると、「ゲームを取り上げられる=友達との約束や、自分の楽しみを急に止められる」という感覚になりやすく、そこで強い反発や涙につながりやすくなります。

1-2. 保護者にとっては「心配のかたまり」

一方で保護者にとって、ゲームやスマホは心配のタネになりがちです。「勉強がおろそかにならないか」「目や体への影響は?」「夜更かしして睡眠不足にならないか」「依存してしまわないか」など、不安材料がたくさんあります。

実際、長時間のスクリーンタイムが続くと、睡眠時間が削られたり、運動や外遊びが減ったりしやすいことが、いくつもの調査で示されています。最近の大規模な調査でも、高いスクリーンタイムが、睡眠不足や運動不足を通じて、将来の心血管リスクの高さと関連する可能性が指摘されています。

子どもにとっては「楽しい」「友達とつながれる」ものが、保護者にとっては「健康や学習が心配なもの」に見える——この価値観のズレが、そのまま家庭内のバトルにつながりやすいのです。

2. 「禁止」よりもいっしょに決める合意形成が大事

2-1. ルールは「守らせるもの」ではなく「家族で合意する約束」

イライラがピークになると、「もうゲーム禁止!」「スマホ取り上げるよ!」と言いたくなりますが、「一方的な禁止」は、短期的には止められても、長期的にはモメごとを増やしやすい方法です。

親子でルールをいっしょに決めるスタイルの方が、子どもが「自分で決めた約束だから守ろう」と感じやすく、守られる可能性が高いことが報告されています。スクリーンタイムについても、親子で話し合って決める「共同作成のルール」は、対立を減らし、協力的な雰囲気をつくるのに役立つと言われています。

ポイントは、「ルール=大人が押し付けるもの」ではなく、「家族全員で合意する約束」として扱うことです。できれば、大人側のスマホの使い方(食事中は見ない、寝室に持ち込まない等)も、同じ紙に書き込むと、「子どもだけが我慢させられている」という不公平感を減らせます。

2-2. 話し合いの進め方:事実→気持ち→提案→合意

「じゃあ、どう話せばいいの?」というときの一つの型として、次のような流れが参考になります。

まずは、責める前に「事実」を共有します。例えば「最近、平日のゲーム時間がだいたい2時間くらいになっているね」「夜、寝る時間が30分くらい遅くなっているね」と、数字や状況だけを落ち着いて伝えます。

次に、お互いの「気持ち」を言葉にします。保護者側は「勉強や睡眠が心配」「体調を崩さないか不安」などをやわらかく伝え、子ども側には「どんなところが楽しい?」「やめづらいのはどんなとき?」と聞いてみます。「楽しいからやめたくない」「友達との話題についていけないのが怖い」など、本音が出てくるかもしれません。

そのうえで、「提案」を出し合います。「宿題とお風呂が終わったらゲームOKにするのはどう?」「寝る1時間前は画面オフにしてみない?」「平日は◯分、休日は◯分までにしようか」など、条件をいくつか考えます。

最後に、「合意」できた内容を紙に書き出します。例えば「平日のゲームは17:00〜18:00の間で30分」「寝る1時間前からはスマホ・ゲームを使わない」「約束を守れた日はカレンダーに◯をつける」など、誰が見ても分かる形にするのがおすすめです。完璧なルールにこだわらず、「まずは2週間お試しルールにして、うまくいかなかったらいっしょに修正するね」と伝えると、子どもも安心しやすくなります。

3. ケンカになりにくい時間設計の考え方

3-1. 先に守りたい「生活の土台時間」を決める

ルールづくりのポイントは、いきなり「1日◯時間まで!」と時間だけを決めないことです。まずは、スクリーンとは関係のない「生活の土台となる時間」をしっかり確保するところから考えてみましょう。

例えば、次のような時間です。

・睡眠時間(小・中学生であれば、おおよそ8〜10時間を目安)
・朝食・夕食などの食事の時間
・宿題や翌日の準備の時間
・お風呂や歯みがきなどの身の回りのこと
・外遊びや運動、家族で過ごす時間 など

小児科や専門団体も、「何時間まで」といった単純な数字だけでなく、睡眠や運動、勉強、家族との会話などが十分に確保されているかを重視することを勧めています。

まずは家族で一週間のだいたいのタイムテーブルを書き出して、「この土台時間を削らない範囲で、ゲーム・スマホの時間をどこに置くか」を考えると、話し合いがスムーズになります。

3-2. その上でゲーム・スマホの「使っていい時間帯」を決める

生活の土台時間が見えてきたら、次に「ゲーム・スマホを使っていい時間帯」と「使わない時間帯」をはっきりさせます。ポイントは、「何分まで」と同じくらい「いつ・どこで・何をするか」をはっきりさせることです。

例えば、次のような決め方があります。

・平日は「宿題・明日の準備・お風呂」が終わったあと、17:00〜19:00の間で30分まで
・休日は午前中に1時間、夕方に30分など、まとまりのある時間枠にする
・食事中と寝る1時間前以降は、スマホ・ゲームは使わない
・使う場所はリビングだけにして、寝室には持ち込まない

就寝前のスクリーン利用は、寝つきの悪さや睡眠の質の低下と関連することが多くの研究で示されています。特に、画面から出る光が睡眠ホルモン(メラトニン)の分泌を遅らせることが分かっています。

「寝る1時間前からは画面オフ」「スマホはリビングのカゴに置く」など、時間と場所をセットで決めておくと、「あと5分!」の押し問答が減りやすくなります。キッチンタイマーやスマホのアラームを使って、子ども自身が時間を意識できるようにするのもおすすめです。

4. 続けやすいルールづくりの工夫

4-1. 破ったときの対応・ご褒美をセットで決める

どんなに良いルールでも、最初から100%守れる子どもはいません。大事なのは、「破ったときにどうするか」を、あらかじめ親子で話し合って決めておくことです。

例えば、こんな約束が考えられます。

・時間を5分以上オーバーしたら、次の日のゲーム時間を10分減らす
・何度注意してもやめられない日が続いたら、週末のゲーム時間を見直す
・もし自分から「今日はやめておく」と言えたら、カレンダーに星シールを貼る

ポイントは、「突然の没収」や「無期限の禁止」にしないことです。ルール違反と結果(次の日の時間が少し減る、など)が、なるべく分かりやすく、予測しやすい形になっていると、子どもも納得しやすくなります。

同時に、「守れたとき」に大人がしっかり言葉で認めることも、とても大切です。「今日は自分で時間を見てやめられたね」「約束を守ろうとしていたのが分かったよ」と、行動を具体的にほめることで、子どもは「また頑張ろう」と感じやすくなります。

4-2. 成長に合わせて定期的に見直す

小学校低学年、中学年、高学年、中学生……と、子どもの成長や生活スタイルはどんどん変わっていきます。学年が変わったり、部活動が始まったり、通塾が始まったりすると、それまでのルールが現実に合わなくなることもよくあります。

そこでおすすめなのが、「学期ごと」や「学年が変わるタイミング」で、家族で「メディア会議」を開くことです。各国の小児科団体も、家庭ごとに話し合ってメディア利用計画を作り、定期的に見直していくことを勧めています。

メディア会議では、次のようなことを話してみてください。

・今のルールで「うまくいっていること」は何か
・「守りにくい」「ストレスになっている」部分はどこか
・塾や部活、友達との連絡手段として、どのアプリ・サービスが必要か
・新しく増えた心配ごと(SNS、課金など)はあるか

もし、どれだけ話し合ってもルールがほとんど守れない、夜中までゲーム・スマホをやめられない、成績や体調が大きく落ちてきた、などの状況が続く場合は、学校の先生やスクールカウンセラー、小児科など、専門家に相談することも選択肢に入れてみてください。

ゲームやスマホは、今の子どもたちの世界から切り離すことはできません。だからこそ、「全部禁止」か「完全に野放し」かではなく、家族で話し合いながら、生活の土台を守りつつ楽しめる使い方を探していくことが大切です。完璧を目指す必要はありません。「うまくいかなかったら、また話し合って直せばいい」と考えながら、親子で少しずつ、自分たちの家庭に合ったルールを育てていきましょう。


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