やってはいけない勉強法:努力を点数につなげるための見直しガイド
「勉強しているのに成績が上がらない」とき、よくある原因は“時間”よりも“やり方”にあります。頑張っているほど、間違った方法でも続けてしまいやすいのが難しいところです。
この記事では、中高生とその保護者の方に向けて、やってはいけない勉強法と、代わりに何をすると伸びやすいかを、できるだけ具体的にまとめます。
1. まず知っておきたい「伸びない勉強」の共通点
1-1. 勉強は「理解できる」と「解ける」が別
教科書を読んで「なるほど」と思えるのは大事な第一歩です。ただ、テストで点を取るためには、何も見ずに思い出して、答えを組み立てる必要があります。
たとえるなら、自転車の乗り方の説明を聞いて「わかった」と思っても、実際に乗るとふらつくことがあるのと同じです。知識も「見ればわかる」から「見なくても出せる」へ、段階を上げる必要があります。
1-2. 脳は「楽にできる作業」で安心しやすい
人は、スラスラ進む作業をすると「身についている気」がしやすいです。読み返し、きれいなノート作り、マーカーで色分けなどは、気持ちよく進みます。
でも、伸びる勉強は少しだけ“引っかかる”ことが多いです。「思い出せない」「解けない」が出た瞬間こそ、伸びる入口になります。
2. やってはいけない勉強法(頑張っている人ほどハマりやすい)
2-1. 教科書やノートを何回も読み返すだけ
読み返しは手軽ですが、目で追っている間は内容がそこにあるので、思い出す練習になりにくいです。時間のわりに点数が伸びづらい典型パターンです。
読み返すなら、最後にノートを閉じて「要点を3つ言えるか」「公式や用語を何も見ずに書けるか」をセットにすると、同じ時間でも効果が変わります。
2-2. きれいなノート作りに時間を使いすぎる
ノートを丁寧にまとめ直すと達成感があります。ただ、まとめること自体が目的になると、テストのための練習量が足りなくなります。
特に危険なのは「写して満足」する形です。手は動いても、頭があまり困らないので、定着が弱くなりやすいです。
2-3. マーカーだらけで重要点が増えていく
色をつけると“重要そう”に見えますが、増えすぎると結局どれが大事かわからなくなります。しかも、線を引いた時点で覚えた気になりやすいです。
マーカーを使うなら「1段落に1つまで」など上限を決めるのがコツです。
2-4. 答え合わせが「○×」で終わる
問題集を解いて丸付けだけして終わると、「できない理由」が置き去りになります。点数が伸びない人ほど、間違いの扱いが軽くなりがちです。
間違いは宝です。間違えた問題は、次に同じミスをしない形に直せるかが勝負になります。
2-5. 解説を読んで「わかった」で終える
解説を読むと筋道が見えるので、頭の中では理解できた気になります。でもテストでは解説が出てきません。自分で再現できるかどうかが大切です。
「解説を読んだ直後に、何も見ずにもう一度解く」を入れるだけで、定着が強くなりやすいです。
2-6. 同じ種類の問題を連続で解き続ける
同じパターンを続けて解くと、途中から“流れ”で解けてしまい、「できる気」が出やすいです。ところが、テストでは単元が混ざるので、途端にミスが増えることがあります。
練習の後半は、少し混ぜて解く(例:一次関数と方程式の文章題を交互に)ほうが本番に近くなります。
2-7. スマホを机の上に置いたまま勉強する
通知が来ていなくても、スマホが視界にあるだけで注意が散りやすいです。集中力は気合いより環境で決まりやすいので、本人の意思だけに任せると苦しくなります。
勉強中はスマホを「手の届かない場所」に移すだけでも、集中の質が上がりやすいです。
2-8. テスト前に睡眠を削って詰め込む
睡眠が足りないと、翌日の集中力や作業スピードが落ちます。また、覚えた内容が頭の中で整理されにくくなります。
テスト前日は新しいことを増やすより、ミスしやすいところを短く確認し、眠って当日の頭を動かすほうが結果につながりやすいです。
3. 代わりにやると伸びやすい勉強法
3-1. 「思い出す練習」を最優先にする
点数に直結しやすいのは、インプットよりアウトプットです。おすすめは、勉強の最後に小テストを入れることです。
やり方はシンプルです。ノートを閉じて、次のどれかをやります。
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今日の要点を3つ書く
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用語を見ないで説明する(短くでOK)
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公式や重要文を見ないで書く
出てこなかったところが、明日の復習ポイントになります。
3-2. 間隔をあけて復習する(短く何回も)
同じ内容を一気に長時間やるより、短い時間でも間隔をあけて何度か触れるほうが、思い出す回数が増えて強くなりやすいです。
例として、こんな予定にしてみてください。
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今日:新しく学ぶ+最後に小テスト
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明日:昨日のミスだけ5分
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3日後:同じ範囲をもう一度小テスト
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1週間後:テスト形式で確認
3-3. 間違いは「原因を一言で」残す
間違いノートを丁寧に作るより、短く効く形にするのがコツです。おすすめは、間違えた問題に対して“原因を一言”だけ書く方法です。
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「公式は知ってたが、条件の読み落とし」
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「英単語の意味は合ってたが、品詞を間違えた」
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「語句は覚えていたが、説明を自分の言葉にできなかった」
原因が見えると、次の練習がはっきりします。
3-4. 教科別:今日から変えられる具体例
同じ「思い出す練習」でも、教科でやり方が少し変わります。
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英語:英単語は「英→日」より「日→英」を多めにする。文法は例文を見ないで再現する。
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数学:解説を読んだら、何も見ずに同じ問題をもう一度解く。途中式のどこで迷ったかを一言で残す。
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理科・社会:用語暗記だけで終わらせず、「なぜそうなるか」「原因→結果」を短く説明する練習を入れる。
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国語:本文の要点を一文で言う練習。記述は模範解答を写すのではなく、「どの部分を根拠にしたか」を線で示す。
4. 続けるためのコツ(中高生と保護者でできること)
4-1. まずは15分だけ“形”を作る
勉強法は、一気に変えようとすると続きません。最初は「最後の3分だけ小テスト」など、小さく始めるのが現実的です。
おすすめは、15分の中に次を入れる形です。
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10分:インプット(授業の復習・例題確認)
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5分:アウトプット(問題2問、または要点3つ)
4-2. 週1回だけ「どこで詰まったか」を確認する
成績が伸びる人は、やりっぱなしにしません。週に1回だけでいいので、「今週ミスが多かった原因」を見ます。
原因が見えると、次の週にやるべきことが絞れて、勉強時間が同じでも成果が出やすくなります。
4-3. 保護者のサポートは「時間」より「手順」を見る
保護者が「何時間やったの?」と聞くと、本人は守りに入りやすいです。代わりに、手順を確認する声かけが効果的です。
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「今日、見ないで答える練習は何をした?」
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「間違えたところ、次はいつやり直す?」
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「解説なしで解き直した問題はどれ?」
また、スマホの置き場所を家で決める、勉強場所の“物の少なさ”を整えるなど、環境面の支援はケンカになりにくく、効果も出やすいです。
5. まとめ:今日やめること・今日から始めること
5-1. 今日やめることチェック
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読み返すだけで終わる
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写すだけのノート作りに時間を使う
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マーカーを増やして安心する
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答え合わせが○×で終わる
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解説を読んで「わかった」で止める
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スマホを手元に置いたまま勉強する
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睡眠を削って詰め込む
5-2. 今日からの一歩(まず1週間プラン)
全部は無理でも、次の2つだけで十分変化が出やすいです。
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毎回の勉強の最後に「見ないで答える」小テストを3分
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間違えた問題を「明日5分」だけやり直す予定を入れる
勉強は才能よりも、手順の積み重ねです。やってはいけない型を外して、点数につながる型に少しずつ寄せていきましょう。

