大学入試英語で文法はどれくらい重要?英文解釈に進んでいい目安をわかりやすく解説
1. 大学入試の英語で「文法」が重要な理由
1-1. 文法は「英文を読むための地図」になる
大学入試の英語は、単語を知っているだけでは読めない文章がよく出ます。なぜなら、英語は「語順」と「かたまり(句・節)」で意味が決まる言語だからです。
文法は、英文の中で「誰が」「何を」「どうした」「どこまでが説明」であるかを整理するための地図のようなものです。地図があると、長い文でも迷子になりにくくなります。
たとえば次のような文を想像してみてください。
例: The student who studied every day passed the exam.
この文で大事なのは、who studied every day が「student を説明している部分(関係詞節)」だとわかることです。これが分かると、主役は student で、動作は passed だと迷わず決められます。
1-2. 文法が弱いと起きやすい「読み間違い」
文法があいまいなまま長文に進むと、よくあるつまずき方があります。特に中堅私立〜地方国公立の読解では、この「基本の読み間違い」が点数差になりやすいです。
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主語と動詞がズレる: 途中の情報に引っぱられて、誰が何をしたのかが崩れる。
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修飾のつながりを誤解する: どの名詞を説明しているのかが分からず、意味が逆になる。
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that / which / what の役割が混ざる: 「関係代名詞の that」と「接続詞の that」の区別がつかず、文が分解できない。
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to不定詞・分詞が見えない: 「目的」「形容詞的用法」などの役割が曖昧で、説明の順番が崩れる。
読み間違いが怖いのは、1文だけのミスで終わらず、その後の段落の内容理解や設問(内容一致など)にも連鎖してしまうところです。
1-3. 中堅私立〜地方国公立で求められる文法の「深さ」
このレベル帯では、難関大のように超細かい文法知識や例外を覚えていなくても戦えます。ただし、次の2つはほぼ必須です。
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基本文法が「説明できる」: 丸暗記ではなく、文の中で役割を言える。
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長文で「使える」: 文法問題だけ解けても、読解中に活用できないと点につながりにくい。
つまり「文法は必要。でも目的は文法満点ではなく、読めるようになること」です。
2. 英文解釈とは何をする勉強?
2-1. 英文解釈は「文法を使って意味を確定する練習」
英文解釈は、短め〜中くらいの英文を使って、文構造を正確にとらえ、意味をズレなく読む練習です。
文法の勉強が「ルールを知る」だとしたら、英文解釈は「そのルールで実際に分解して読む」です。文法と長文の間をつなぐ“橋”のような位置づけだと思ってください。
2-2. 長文が苦しい人ほど、英文解釈で伸びやすい
長文が苦しくなる原因は、大きく2つに分かれます。
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単語が分からない: そもそも材料が足りない状態。
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構造が分からない: 材料はあるのに料理の手順が分からない状態。
英文解釈が効くのは後者です。単語はそこそこ分かるのに、読んでも内容が頭に残らない/和訳がぐちゃぐちゃになる/設問で根拠が見つからない…という人は、解釈で伸びやすいタイプです。
2-3. 「英文解釈=和訳の練習」ではない
英文解釈というと「和訳を作る勉強」と思われがちですが、中心はそこではありません。
大事なのは、和訳の日本語を上手にすることよりも、英文を読んだ瞬間に次のことができるようになることです。
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主語と動詞をすぐ押さえる
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修飾(説明)がどこからどこまでか区切る
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節(that節、関係詞節など)の境界を見抜く
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1文を「意味のかたまり」にして頭に入れる
これができると、長文でも「いま何の話をしているか」を見失いにくくなります。
3. 英文解釈に進んでいい目安
3-1. 最低ラインは「文の骨格(主語・動詞)が取れる」こと
英文解釈に入る目安として、まずはこれをチェックしてください。
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英文を見たとき、主語(S) と 動詞(V) を見つけられる
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基本の 5文型(SV / SVC / SVO / SVOO / SVOC) がざっくり判定できる
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前置詞+名詞 のかたまりを「説明」として処理できる(文の骨格と混ぜない)
ここが取れないまま解釈に進むと、毎回「まず文法の穴埋め」から始まってしまい、学習効率が落ちやすいです。
3-2. 10分でできるセルフチェック
次の方法で、自分が英文解釈に入ってよい状態かを10分で確認できます。
手順:
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参考書や学校教材から、初見の英文を5文選ぶ(1文はやや長めでもOK)
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各文で、まず動詞(V)に下線、次に主語(S)に丸をつける
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修飾のかたまり(前置詞句、関係詞節、分詞など)をカッコでくくる
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最後に、文の意味を日本語で1文にしてみる(きれいな和訳でなくてOK)
判定の目安:
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5文中4文は、SとVがスムーズに取れて意味も大きく外さない → 英文解釈に進んでOK
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5文中2〜3文で迷う → 英文解釈を始めつつ、弱点の文法を並行で補強
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5文中1文以下しか骨格が取れない → 先に文法の基礎(特に品詞・文型・節)を整えると近道
ポイントは「正解の日本語を作れるか」よりも、「文の骨格と説明を分けられるか」です。
3-3. 「完璧になってから」ではなく「穴を塞ぎながら進む」でいい
現実的には、文法を100%にしてから英文解釈に入る人は多くありません。中堅私立〜地方国公立を目指すなら、次の考え方がちょうど良いです。
文法は“問題集で完成”ではなく、“英文の中で使って完成”する。
おすすめは、英文解釈でつまずいた部分をメモして、週末に文法へ戻って穴埋めするやり方です。たとえば「関係詞がごちゃつく」「分詞が形容詞なのか動作なのか分からない」と感じたら、そこだけピンポイントで復習します。
4. 中堅私立〜地方国公立向け:勉強の進め方
4-1. 先に整えると効率が上がる文法テーマ
このレベル帯で特に効きやすいのは、次のテーマです。すべてを同じ重さでやるより、「読解で出現率が高いもの」から固めるのが得策です。
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文型(5文型)・品詞
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関係詞(関係代名詞・関係副詞)
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名詞節(that節、疑問詞節、if/whether)
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分詞(現在分詞・過去分詞)と分詞構文
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不定詞(3用法)・動名詞
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接続詞(文と文のつながり)
これらが固まると、英文を「骨格+説明」に分けるスピードが一気に上がります。
4-2. 英文解釈の基本は「線を引く→切る→つなぐ」
英文解釈の勉強は、次の3ステップで回すと安定します。
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Step 1:線を引く(Vに下線、Sに丸、接続詞・関係詞に印)
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Step 2:切る(修飾・挿入・節をカッコでくくり、かたまりに分ける)
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Step 3:つなぐ(かたまり同士を日本語の順に並べて意味を確定する)
コツは、最初から「きれいな日本語」にしようとしないことです。まずは「誰が何をした」を外さない。次に説明を足す。この順番で十分です。
4-3. 1週間の回し方の例
部活や学校行事がある前提で、続けやすい形の例を置いておきます。
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毎日: 英単語・熟語(15〜25分)
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週3日: 文法(30分)…間違えた単元だけ復習中心
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週3日: 英文解釈(30〜45分)…短文を丁寧に
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週1日: 長文(60分)…「構造を取りながら読む」を実践
時間が取れない週は、英文解釈を減らすより、1回あたりの量を減らして「習慣」を守る方が崩れにくいです。
5. よくある悩みQ&A
5-1. 文法が完璧じゃないと英文解釈に進んではダメ?
ダメではありません。ただし、「何が分からないのか」が分かる状態にしてから進むのが安全です。
たとえば、関係詞が苦手でも「これは関係詞っぽいけど、先行詞が見つからない」まで言えるなら、英文解釈で鍛えながら文法へ戻る学習ができます。逆に、どこが分からないかも分からない場合は、先に文型・品詞・節を整える方が近道です。
5-2. 英文解釈と長文演習はどちらが先?
基本は「英文解釈 → 長文」です。ただし完全に分けなくて大丈夫です。
おすすめは、英文解釈で短文を丁寧にやりつつ、週1回だけ長文で「実戦の読み方」を確認するやり方です。英文解釈で学んだ“切り方”を、長文の中で実際に使う時間があると定着が早いです。
5-3. 参考書はどう選べばいい?
中堅私立〜地方国公立なら、目安は次の通りです。
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文法: 1冊を繰り返して「説明できる」状態にする(広く浅くより、狭く深く)
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英文解釈: いきなり難文だらけの本より、基本構造を丁寧に解説してくれるタイプが合いやすい
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長文: 設問の根拠が本文のどこにあるかを追いやすい、標準レベルから
選び方で一番大切なのは、「解説を読んだあと、自分で同じ分解が再現できるか」です。読んで終わりにならない本が当たりです。
6. まとめ:今日からできることと、次の記事の予告
6-1. まずはこの3つをやれば前に進める
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1日1回、英文でSとVを取る練習をする
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関係詞・名詞節・分詞・不定詞を、長文の中で見つけて印をつける
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英文解釈に進むか迷ったら、5文セルフチェックで判断する
文法は「覚えたか」より、「読めるか」で完成します。焦らず、でも手を止めずに積み上げていきましょう。
6-2. 難関大向けの記事では「何が変わる?」を少しだけ予告
今回は中堅私立〜地方国公立向けに、「基礎文法を読解で使える形にする」ことを中心に話しました。
一方で、難関大(早慶・旧帝大レベルなど)になると、同じ文法でも次のような力がより強く求められます。
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1文が長いだけでなく、論理のつながり(対比・因果・譲歩)まで正確に追う力
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挿入・省略・倒置など、形が崩れた英文でも構造を復元する力
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「なんとなく合っている」ではなく、根拠を言語化できる精度
このあたりは別記事として、「難関大向け:英文解釈の到達基準と学習戦略」という形で、より具体的にまとめる予定です。


