定期テスト勉強と受験勉強を両立する勉強設計術|中学生・高校生と保護者向けガイド

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定期テスト勉強と受験勉強、どう両立すればいい?

こんにちは、慶京セミナー宇治小倉校の池藤です。

中学生・高校生と話していると、こんな声をよく聞きます。

  • 「テスト前だけ本気を出して、終わったら全部忘れる…」
  • 「定期テストの勉強をしていると、受験勉強ができていない気がして不安」
  • 「受験対策用の問題集をやり始めたら、テスト範囲のワークが進まなくなった」

実はこれ、「やる気が足りない」ではなく、勉強の設計の問題であることがほとんどです。
この記事では、科学的にわかっている「忘れにくい学び方」の考え方を使いながら、定期テスト勉強と受験勉強をムリなく両立させる方法を整理してみます。


1. 「テスト前だけ頑張る→すぐ忘れる」のメカニズム

1-1. テスト前の「つめこみ勉強」は、テスト後に急降下する

テスト前だけ一気に詰め込むと、テスト当日までは何とか覚えていますが、その後はスーッと記憶が落ちていきます。
これは、脳の性質として「時間をあけながら何度も思い出す」ほうが記憶が安定するからです。

よくあるパターンはこんな感じです。

  • テスト1週間前:ワークを一気に解きまくる
  • テスト当日:ある程度解ける → 点数はそこそこ
  • テスト後2〜3週間:内容をほぼ忘れている

これを続けていると、「通知表の数字はある程度あるのに、入試問題になると戦えない」という状態になりやすくなります。

1-2. 「忘れる前に思い出す」ことが、受験勉強の土台になる

逆に、テストが終わったあとも少しずつでいいので、

  • 週に1〜2回、その範囲を「思い出す練習」をする
  • 次の単元を習ったときに、前の単元とつなげて考える

といった形で、「忘れそうになったタイミングで思い出す」経験を重ねると、記憶はかなり粘り強くなります。
この考え方が、そのまま受験勉強の設計にもつながります。


2. 定期テスト勉強と受験勉強の「役割」を分けて考える

2-1. 2つの勉強はケンカさせず、「役割分担」させる

まず大事なのは、定期テスト勉強と受験勉強を「どちらをやるか」の二択にしないことです。
それぞれに、こんな役割があります。

  • 定期テスト勉強の役割
    学校の授業で習った内容を一度しっかり整理し、基礎を固めること。
  • 受験勉強の役割
    定期テストで身につけた基礎を、入試レベルの形で「使える」ようにすること。

この2つがかみ合うと、

  • 定期テストの勉強をしているのに、同時に受験力も育っている
  • 受験問題を解くときに、「あれ、これ前にテストでやったやつだ」とリンクして見えてくる

という状態が作れます。

2-2. 時間のイメージは「3つのレイヤー」で考える

時間の使い方を、ざっくり次の3段階に分けて考えてみましょう。

  1. 毎日のベース学習(通年で続ける)
    英単語・漢字・計算など、入試までずっと効いてくる土台作り。
  2. テスト前3週間〜本番までの学習(定期テスト対策)
    学校ワーク・学校プリント・教科書の内容を固める期間。
  3. テスト後〜次のテストまでの「振り返り+受験モード」
    間違えたところを整理しつつ、入試レベルの考え方に橋をかける時間。

この3つのレイヤーを意識すると、
「今は1の時間」「今日は2を優先」「テストが終わったから3に切り替え」と、モードチェンジがしやすくなります。


3. 具体的な両立プランの例(中3・高1〜2共通)

3-1. 1日の時間配分のイメージ

部活や習いごとがあることを前提に、平日の学習イメージを一例として書いてみます。

  • 1 ベース学習(15〜30分)
    英単語・古文単語・漢字・計算・英文音読など、
    「入試まで続けるメニュー」を少しずつ。
    → ここはテスト前でも削らないのが理想。
  • 2 今日習った内容の「軽い想起」(15〜30分)
    ノートを軽く見返したあと、
    自分で「今日の授業で何を習ったか」を口頭で説明してみる、
    もしくはノートの空きスペースに簡単にまとめ直す。
    → 「見直す」よりも、「思い出して説明する」ほうが忘れにくくなります。
  • 3 その日のメイン勉強(30〜60分)
    時期によって、定期テスト対策 or 受験対策の比率を変える。

例えば、テストのない時期であれば、

  • メイン勉強のうち、6〜7割を受験勉強(入試問題、応用問題集など)
  • 残りを、前回のテスト範囲の復習や弱点補強に使う

テスト3週間前になってきたら、

  • メイン勉強のうち、7〜8割をテスト範囲のワーク+プリント
  • 残りを、ベース学習から少し発展させた入試問題などにあてる

このように、「1 ベースは守る」「3 メインの中で比率を調整する」という考え方にすると、
定期テストと受験勉強がケンカせずに共存しやすくなります。


4. テスト前3週間の「モード切り替え」のコツ

4-1. STEP1:テスト3週間前〜2週間前「全体像をつかむ」

  • テスト範囲を科目ごとに書き出す(教科書・ワークのページなど)
  • 「ここは授業で理解が浅かった」「計算が重い単元」などを軽くチェック
  • ワークは、まず1周目を終わらせる日程を決める(完璧でなくてOK)

この時期は、「ざっくり全体をなぞる」ことを優先します。
時間をかけすぎて1周も終わらないより、8割の理解で全範囲を一度通すほうが、記憶の土台としては有利です。

4-2. STEP2:テスト2週間前〜1週間前「間違いを集中的に回す」

  • ワーク・プリントの間違えた問題だけをピックアップする
  • 「間違いノート」などに、問題番号とポイントだけを書き出す
  • 2〜3日に1回、その間違いを「見ずに解けるか」チェックする

ここで意識したいのは、「間違いをコレクションして、何度も思い出す」こと。
全部を解き直すより、×のついた問題だけを優先的に回す方が、時間対効果が高くなります。

4-3. STEP3:テスト直前「入試を意識した+1問」

余裕があれば、テスト前日〜前々日あたりに、

  • 数学なら、ワークより少しレベルの高い問題を1〜2問だけ解いてみる
  • 英語なら、教科書レベルより少し長い英文を1題だけ読む

これをしておくと、「テスト範囲の内容が、入試でどう問われるか」のイメージが少しずつつかめてきます。
量は多くなくていいので、「テストのためだけの勉強」で終わらせないひと工夫としておすすめです。


5. テストが終わってからが、実は「受験勉強チャンス」

5-1. 間違えた問題は「弱点リスト」に変える

テスト返却後におすすめなのが、科目ごとに「弱点リスト」を作ることです。

  • 単元名(例:二次方程式の文章題、英語の関係代名詞など)
  • テストで間違えた番号
  • なぜ間違えたのか(ケアレス・理解不足・覚えきれていない、など)

これを一覧にしておくと、受験勉強を本格化させたときに、
「どこからやり直せばいいか」が一目でわかるようになります。

5-2. テスト問題を「入試目線」でもう一度見る

さらに一歩進めると、テスト問題を見返しながら、

  • 「この問題を、入試レベルにするとしたらどうなるだろう?」
  • 「この文法は、長文の中だとどんな形で出てきそう?」

といった視点で考えてみるのも効果的です。
塾では、テスト問題を素材にして「入試バージョン」にアレンジすることもありますが、
家でも、先生や保護者の方と一緒に軽く話題にしてみるだけでも、意識が変わってきます。


6. 高1〜2生の場合のポイント

6-1. 「定期テスト=内申点+基礎固め」の二役

高校生の場合、定期テストは

  • 評定・内申につながる
  • 共通テストレベルの基礎を固める場でもある

という2つの意味を持ちます。
なので、

  • テスト勉強では、教科書・授業プリントを「穴がない状態」にすること
  • テスト範囲の中で、入試でも頻出のテーマ(関数・確率・重要文法など)は、
    1ランク上の問題にもチャレンジしておくこと

この2点を意識できると、「定期テストをこなしつつ受験基礎も進んでいる」という状態に近づきます。

6-2. 高2のうちに「受験モードの時間帯」を決めておく

高2のうちから、たとえば

  • 平日の夜 20:30〜21:00は、共通テストの過去問や受験用問題集だけに使う
  • 土曜日の午前は「模試対策の日」にする

といった感じで、「受験モード用の時間帯」をあらかじめ決めておくと、
高3になってからのギアチェンジがスムーズになります。


7. 保護者の方にできるサポート

7-1. 声かけのポイントは「量」より「設計」

つい「もっと勉強しなさい」と量に目がいきがちですが、
実はお子さんがつまずいているのは、「やり方」と「優先順位」であることが多いです。

例えば、次のような声かけが有効です。

  • 「今日はテスト勉強用?それとも、入試用の勉強の日?」
  • 「テスト終わったあと、そのテストをどう受験勉強に生かす予定?」
  • 「今の勉強で、“入試にもつながりそうな部分”はどこかな?」

こうした質問は、お子さんに「勉強の設計図を自分で描く」きっかけを与えてくれます。

7-2. 「完璧主義」より「続けられる設計」を一緒に探す

毎日3時間完璧にやる、などの理想を掲げすぎると、
少し崩れたときに一気にやる気を失いやすくなります。

それよりも、

  • 「まずは毎日15分のベース学習を死守しよう」
  • 「テスト3週間前からは、週末だけでも一緒に計画を確認しよう」

といった、「現実的に続けられる最低ライン」を親子で共有しておくほうが、長い目で見て成果につながりやすくなります。


8. まとめ:テスト勉強と受験勉強は、「設計」しだいで味方になる

定期テスト勉強と受験勉強は、どちらか一方をあきらめるものではありません。
ポイントは、

  • テスト前だけの「つめこみ」で終わらせず、忘れる前に何度も思い出す仕組みを作ること
  • 毎日のベース学習を決めて、テスト前でもそこだけは守ること
  • テストが終わったあとこそ、受験勉強に橋をかけるチャンスと考えること

この3つを意識するだけでも、
「テスト前だけ頑張る→すぐ忘れる」というサイクルから抜け出しやすくなります。

もし「うちの子の場合はどう組み立てればいい?」といった具体的な相談があれば、
学校の状況や志望校、今の生活リズムに合わせて、一緒に勉強の設計図を作ることもできます。
定期テストも受験も、どちらも味方につけながら、じわじわと実力を積み上げていきましょう。

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