【運動×学習】運動で勉強効率がグンと上がる理由と具体的な取り入れ方

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【運動×学習】運動で勉強効率がグンと上がる理由と具体的な取り入れ方

1. 勉強と運動の関係を知っておこう

「運動すると疲れて勉強できなくなる」「部活が忙しいと、勉強がおろそかになる」。こう感じている中高生や保護者の方は少なくありません。でも、体のしくみや脳の働きを見ていくと、実は「適度な運動は勉強の強い味方」だということが分かっています。

ここで大事なのは、「激しすぎる運動」ではなく「ちょうどいい運動」を、生活の中にどう混ぜるかという視点です。うまく取り入れると、集中力・記憶力・気分の安定が整いやすくなり、同じ時間勉強しても吸収率が変わってきます。

まずは、「運動と勉強はケンカしない」「むしろうまく組み合わせるとどちらも伸びる」という前提から、一緒に整理していきましょう。

1-1. 「運動すると疲れて勉強できない」は本当?

よくあるイメージは、「運動=疲れるものだから、勉強のジャマになる」という考え方です。たしかに、試合やハードなトレーニングの直後は、体も頭もヘトヘトで、すぐに机に向かうのは難しいかもしれません。

ただ、ここで分けて考えたいのは次の3パターンです。

  • まったく運動せず、ずっと座りっぱなし
  • 限界まで追い込むような、きつすぎる運動
  • 少し息が弾むくらいの、適度な運動

勉強にとってプラスになるのは、もちろん3つ目の「適度な運動」です。軽く体を動かした後のほうが、「頭がスッキリする」「気分が切り替わる」と感じる人は多いはずです。

逆に、まったく動かずに長時間座りっぱなしだと、血流が悪くなり、眠気やダルさが出やすくなります。「机には向かっているけれど、頭がぼーっとして進まない」という状態になりがちです。

つまり、「運動=勉強の敵」というよりも、「うまく使えば、勉強前のウォーミングアップになる」と考えた方が、現実に近いと言えます。

1-2. 運動が脳にもたらすうれしい変化

運動が勉強にプラスになるのは、「体が健康になるから」だけではありません。脳そのものの働きにも、うれしい変化が起こります。

ポイントになるのは、次のような働きです。

  • 血流アップで、脳に酸素と栄養が届きやすくなる
    軽く体を動かすと、心臓が少し速く動き、全身の血流がよくなります。その結果、脳にも酸素や栄養が届きやすくなり、「ぼーっとする」状態から抜け出しやすくなります。
  • 記憶に関わる部分が元気になる
    運動によって、記憶や学習に関係する脳の領域(海馬など)が刺激されることが分かっています。イメージとしては、「覚えたことを整理しやすい脳の状態」に近づく感じです。
  • 気分が安定し、ストレスが減りやすくなる
    軽い運動は、イライラや不安を和らげるのにも役立ちます。気持ちが落ち着いているときの方が、問題を解くときにミスが減り、集中もしやすくなります。

運動は、筋肉だけでなく「脳のエンジンを温めるスイッチ」にもなります。勉強前や休憩時間にうまく使うことで、同じ内容でも頭に入りやすくなるのです。

2. 勉強効率が上がる運動のポイント

では、どんな運動を、どれくらいやると勉強にとってプラスになるのでしょうか。ここからは、「量」「強さ」「タイミング」の3つのポイントに分けて見ていきます。

2-1. どれくらい・どんな運動が効果的?

運動と聞くと、「毎日長時間やらないと意味がない」と思いがちですが、勉強効率という点では「少しを上手にくり返す」ことが大切です。

目安としては、次のようなイメージです。

  • 普段の生活の中で:歩く時間を少し増やす(エスカレーターではなく階段を使う、1駅分歩くなど)
  • 勉強前:3〜10分程度の軽い運動(ストレッチ、ラジオ体操、軽いスクワットなど)
  • 勉強の合間:25〜30分勉強したら、2〜3分だけ立って体を動かす

運動の種類は、特別なものでなくてかまいません。

  • 少し速めの歩行(早歩き)
  • ラジオ体操やストレッチ
  • その場での足踏みや軽いジャンプ
  • スクワットやかんたんな筋トレ

ポイントは、「息が少し弾むけれど、会話はできるくらい」の強さです。汗だくになるような激しい運動は、直後はむしろ疲れすぎてしまうこともあります。

「運動して勉強も…」と考えると大変そうに聞こえますが、「勉強のスイッチを入れるために、3分だけ体を動かす」と考えると、かなりハードルが下がるはずです。

2-2. テスト前や部活との付き合い方

中高生と保護者の方が特に気になるのが、「テスト前」と「部活との両立」ではないでしょうか。

テスト前になると、「運動している時間がもったいない」と感じるかもしれませんが、まったく体を動かさずに詰め込みを続けると、かえって効率が落ちてしまうことがあります。

おすすめは、次のようなやり方です。

  • テスト1〜2週間前:
    長時間の運動は少し減らしつつ、毎日5〜10分の軽い運動だけはキープする。特に、朝や勉強前に体をほぐすと、頭が切り替わりやすくなります。
  • テスト直前の数日:
    部活が休みになる学校も多い時期です。このタイミングこそ、家でできる短い運動+集中して勉強の組み合わせが効果的です。
  • 部活がハードな人:
    すでにかなり運動量が多いので、勉強前に無理に運動を増やす必要はありません。その代わり、部活の前後の過ごし方(睡眠・食事・短時間の復習)を整えることがポイントになります。

保護者の方には、「運動か勉強か」の二者択一ではなく、「運動をうまく味方につけて、勉強の質を上げる」という見方を持ってもらえると、声かけが変わってきます。

3. 今日からできる「運動×学習」の取り入れ方

ここからは、具体的に「どんなふうに生活の中に運動を組み込めばいいか」を、中高生と保護者それぞれの視点から考えていきます。

3-1. 家でできるスキマ運動と勉強ルーティン

特別な道具がなくても、家の中でできる「運動×勉強」の組み合わせはたくさんあります。例として、次のようなパターンを紹介します。

  • パターン1:勉強前3分ルーティン
    • その場で足踏み1分
    • 首・肩・背中のストレッチを1〜2分
    • 深呼吸を3回してから、教科書を開く
  • パターン2:25分勉強+3分リセット
    • 25分間、1つの教科に集中
    • タイマーが鳴ったら、3分だけ立ち上がって、軽く体を動かす(伸び・スクワット・ラジオ体操の一部など)
    • その後、別の教科や同じ教科の別ページに取り組む
  • パターン3:移動時間を運動タイムに変える
    • 学校の行き帰りは、少し早歩きを意識する
    • エレベーターやエスカレーターより、なるべく階段を選ぶ
    • バスや電車を利用している場合は、「1駅分だけ歩く日」を週に1〜2回つくる

大切なのは、「完璧なメニュー」を目指すより、「少しだけでも続けられる形」にすることです。最初からいろいろ詰め込みすぎると、どちらも続かなくなってしまいます。

「勉強前に3分だけ体を動かす」「25分ごとに立ち上がる」など、自分にとってちょうどいい組み合わせを試しながら見つけていきましょう。

3-2. 保護者ができるサポートと声かけ

保護者の関わり方しだいで、子どもにとっての「運動と勉強の関係」のイメージは大きく変わります。

例えば、次のようなサポートが考えられます。

  • 運動=サボりではなく「良い習慣」として認める
    「また部活?」「運動してないで勉強しなさい」と言われ続けると、子どもは運動に罪悪感を持ってしまいます。代わりに、「体を動かしてから勉強すると、頭が働きやすいよね」など、プラスの意味付けをしてあげることが大切です。
  • 一緒に「運動×勉強」の1日の流れを考える
    「夕飯の前に10分だけ散歩」「お風呂の前にストレッチをしてから、30分だけ勉強」など、親子で1日の流れを紙に書き出しながら決めてみるのもおすすめです。
  • できていることを見つけて言葉にする
    「今日も部活でしっかり体を動かしてきたね」「勉強の前にストレッチしてて、いい習慣だと思うよ」など、運動と勉強の両方を認める声かけが、子どもの自信につながります。

また、運動が苦手な子の場合は、「スポーツで勝つこと」ではなく「体を少しでも動かすこと」にゴールを置いてあげるとよいです。「家でストレッチ」「親子で近所を散歩」など、小さな一歩から始めてみてください。

運動と勉強は、どちらかを選ぶものではなく、うまく組み合わせることでお互いを助け合う関係になれます。今日からできる「ちょっとした運動」をとり入れながら、自分に合った勉強スタイルを少しずつ育てていきましょう。

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